2014 Fiscal Year Research-status Report
市街地における放棄住宅の現状・対策事業と撤去・活用について
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25512009
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
清水 陽子 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (70457133)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 空き家 / 人口減少 / 土地利用 / 住民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は市街地に発生した放棄住宅への対策を検討するものである。平成26年度は京都市における空き家の発生と市街地における住民の意識調査、空き家撤去の先行自治体へヒアリング、海外調査を行った。 意識調査の対象地は京都市内でも高齢化と空き家の発生が顕著である東山区今熊野地区、また比較対象地として比較的人口の安定している上京区西陣地区で行った。今後これらのアンケートの結果と昨年度から進めている地図データとを連携させ分析を行っていく。 先行自治体へのヒアリングは長崎市・夕張市を対象として行った。長崎市の老朽危険空き家撤去事業はすでに9年目に入っており、これまでの実績も全国有数である。また、事業に対する住民の認知も高まっており、空き家に対する住民の意識の変化も見られた。撤去により周辺環境が変化し、一部の地域ではあるが転入者が増加しているところもある。空き家の撤去だけでなく、その後の活用が重要である。 海外調査はアメリカ・ミシガン州デトロイト市とフリント市を対象に行った。両市とも産業衰退による人口減少が起きており、その改善に努めている。放棄住宅についてもフリント市ではランドバンクと連携して詳細な調査を実施している。また、その跡地である空き地の対策として非営利の住民組織(CDC)による整備事業も実施されている。 これらの成果はH26年度日本建築学会近畿支部研究報告会、全国大会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度の調査は研究全体を遂行するのに十分な成果を得た。 国内では空き家法が施行されるなど、新たな動きが見られ、本研究に対しても関心を持つ人が増えている。空き家条例の制定も増えているが、国の対策として打ち出されたことから今後の動向が注目される。その中でもH26年度に調査を行った長崎市は先進事例であり、多くの自治体から視察が相次いでいる。そのような事例に対し、早くから情報収集と現地視察を行っていたため、十分なデータを得ることが出来た。 放棄住宅を特定するのが現状では本研究の一番の難点であり、所有者の特定とともに、その意向が重要である。夕張市においては住宅の集約と移転計画を実施している。 これらの活動は今後の人口減少都市に大きな示唆を与える事例であり、これらの調査を実施できたことは大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度は本研究の最終年度である。 調査は、これまでの成果を踏まえ、継続的に行っている地図データの解析と住民アンケートの分析を重点的に行う。そして、放棄住宅への撤去・活用について、計画的な対策の可能性を探る。 これらの成果をまとめ、年度内に日本建築学会への投稿を目指す。
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Research Products
(2 results)