2014 Fiscal Year Research-status Report
南海トラフ地震等の減災対策としての高齢化時代のゆるやかな地域移転手法の構築
Project/Area Number |
25512013
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石川 永子 千葉大学, その他部局等, 准教授 (00551235)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | Relocation / 事前復興 / ライフサイクル / 防災福祉コミュニティ / 地区防災計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災の復興過程では、津波からの減災対策のために高台や内陸部への集団移転が実施されている。一方で、発生が想定される南海トラフ地震による津波被害や、地域温暖化により被害規模が大きくなってきている台風やゲリラ豪雨によって発生する土砂災害が頻発するような地理条件にある地区では、災害前の減災としての集団移転が議論されている地区もある。しかし、住民のライフサイクルや日常の生活のために必要な公的サービス機能を含めた集団的な移転には、特に、災害前には合意形成が難しい。 そこで研究では、一世代を目安に、住民のライフサイクルや日常生活のために必要な公的サービスに関する手法の実現可能性に関して、事前復興計画のフィールドワークを通して検討する。 これまでに、1)過去に集団移転した集落の居住継続の状態や現在の課題に関する調査、文献調査等で海外の移転復興事例調査を行った。2)に関しては、復興まちづくりが現在進行中なので、合意形成プロセスやその課題について、観察や聞き取り調査を行い、情報の整理を続けている。、あた、被災者の住宅再建意向調査に関する聞き取り調査も行っている。加えて、都市型災害では、高度成長期に建設された大型団地の高齢化とその災害時の対応も大きな課題となっていることから、千葉県美浜区の団地をフィールドに、地区防災計画の策定の検討に資する能力向上のための研修プログラムを検討・実施・評価した。 これらの調査から、災害後のまちの復興と被災者の住宅再建のプロセスのシナリオの中で、住宅再建意向(立地・権利関係・公的住宅への入居等)の決定時期や要因と中長期的な定住意向の形成過程を整理し、それらを事前復興まちづくりの検討地域の被災後のシナリオづくりと事前の復興検討プログラムにまとめる作業を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災やそれ以前の地域の復興プロセスに関する調査は順調に進んでいる。 事前復興計画の検討ワークショップに関しては計画よりも若干遅れているが、類似する地区防災計画の策定に資する連続研修プログラムの開発と実施・効果分析を行っているので、これらを応用して、事前復興計画の検討プログラムを検討していきたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度については、これまでの過去の災害の復興プロセスや地域の合意形成・個別の住宅再建意向等の調査のとりまとめと、本年度行った地区防災計画の研修プログラムを応用した事前復興計画検討プログラムの実施・分析をすすめる予定である
|
Causes of Carryover |
東日本大震災の被災地調査を、実施実績に加えてもう1回予定していたが、所属が4/1付で変更になるため、仕事の引継ぎや業務のとりまとめ等があり、まとまった出張日程をとることが難しかったため、1回分だけ翌年に調査を持ち越した
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
東日本大震災の復興プロセスの調査旅費に使用予定
|