2014 Fiscal Year Research-status Report
シロイヌナズナ花茎の抗重力形態形成におけるブラシノステロイドの機能解析
Project/Area Number |
25514004
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
山崎 千秋 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 客員研究員 (30636189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 幸久 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (30300875)
中村 郁子 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助教 (40585858)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植物ホルモン / 抗重力形態形成 / ブラシノステロイド / 宇宙生物科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の茎は重力の力に抵抗するために強固な体を構築し、耐倒伏性の獲得や姿勢制御を行っている。これまでに、植物の重力に抗う体作り(抗重力形態形成)の発現に、植物ホルモンのブラシノステロイド(BR)の関与が示唆されてきたが、植物ホルモンと抗重力形態形成の関わりの大部分が明らかになっていない。本研究では、シロイヌナズナ花茎が重力を感受して抗重力形態形成を発現するまでの各段階において、BR生合成や応答がどのように関与するかを明らかにすることを目的としている。 本研究は課題を2つに分けており、課題1ではシロイヌナズナ花茎の茎頂特異的なBR生合成の重力依存性の解明、課題2ではシロイヌナズナ花茎の直立/倒伏や二次細胞壁形成に対するBR依存性の解明を目標としている。 本年度は課題2について進捗があった。野生型シロイヌナズナの花茎に外生BR処理およびBR生合成阻害剤 (BRZ) 処理を行い、花茎の生長と剛性の変化を定量した結果、BR濃度依存的に茎の剛性が変動することが明らかになった。。加えて、外生BR処理時の花茎の茎頂や基部の二次細胞壁の変化を定性的に評価するために、花茎の部位別横断面の細胞壁染色を実施した。更に、シロイヌナズナ支持領域の細胞壁の構築における分子機構に関わることが期待される遺伝子のうち、過重力で発現応答が報告されている遺伝子に着目して解析を進めた。その結果、リグニン合成酵素、キシログルカン転移酵素、ペクチン修飾酵素のなどの遺伝子が伸長領域-支持領域の境界付近で発現変動していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題2ではBRが茎の剛性を担う分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。今年度は、野生型シロイヌナズナの花茎に外生BR処理およびBR生合成阻害剤 (BRZ) 処理を行い、BR濃度依存的な花茎の生長と剛性の変化を定量した。加えて、外生BR処理時の花茎の 茎頂や基部の二次細胞壁の変化を定性的に評価するために、花茎の部位別横断面の細胞壁染色を実施した。更に、シロイヌナズナ茎頂部、伸長領域、非伸長領域(支持領域)を含む5画分15サンプルグループの遺伝子発現をマイクロアレイ解析により網羅的に調べた。支持組織の細胞壁の構築における分子機構に関わることが期待される遺伝子のうち、過重力で発現応答が報告されている遺伝子に着目して解析を進めた。その結果、リグニン合成酵素、キシログルカン転移酵素、ペクチン修飾酵素のなどの遺伝子が伸長領域-非伸長領域の境界付近で発現変動していることを明らかにした。今後は、この遺伝子発現の変動と伸長領域、非伸長領域の花茎の組織の発達との対応、BR依存性について解析を進めていきたいと考えている。これらについては概ね順調に研究を完了し、得られた成果について第56回日本植物生理学会年会にて発表した。 課題1については、今年は特筆すべき進捗がなかった。解析を継続し、次年度にBR生合成領域の制御が重力感受に支配されているか確認する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1については、花茎の茎頂部位でのBR生合成領域が重力刺激によって制御されているかを解明することを目的とする。次年度はシロイヌナズナ花茎において、茎頂のBR生合成領域が重力シグナル伝達を介して制御されているか確認するために、整備した重力関連 変異体のラインを用いてBR生合成領域をqRT-PCRで解析し、野生型と比較する予定である。また、昨年度構築した植物体に過重力刺激を与える実験系を用い、抗重力形態形成とBR生合成部位の関連を解析する予定である。 課題2についてはまず、花茎にBRを処理することで人為的に花茎に倒伏させる実験条件を設定し、花茎の茎頂側から基部側にかけて輪切りにしてマイクロアレイ解析を行うことで、直立していた茎が倒伏する過程における時空間的な遺伝子プロファイルを解析する。次に、単離された遺伝子についてqRT-PCRを行い、花茎の直立と倒伏過程にかかわるBR応答性遺伝子を探索する予定である。
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Causes of Carryover |
物品費について、研究室の既購入品で賄うことができたため、新たに購入する必要がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はマイクロアレイ実施と解析に予算が必要になるため、計上されている予算を使い切る予定である。
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