2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25514006
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
保尊 隆享 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70135771)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗重力反応 / 細胞膜 / 植物 / メカノレセプター / 膜ラフト |
Outline of Annual Research Achievements |
メカノレセプター候補遺伝子MCAの発現に対する重力刺激の影響について、プロモーターGUS 形質転換シロイヌナズナを用いて詳細に検討した。MCA遺伝子の発現は茎頂、茎根遷移部、根端において高く、成長に伴って低下したが、過重力環境下ではGUSの発現低下が見られず、処理前と同程度の発現量が維持されていた。これに対して、接触刺激や高浸透圧刺激を与えた芽ばえでは、MCA遺伝子の発現が対照と同様に低下した。一方、ガドリニウムイオンで処理をした芽ばえでは、過重力環境下で1 g環境と同様に発現の低下が見られた。これらの結果より、メカノレセプターを介したMCA遺伝子の発現調節が抗重力反応における重力応答に特異的に関与していることが示された。 一方、純系T-DNA挿入ラインを用いて、抗重力反応に関わる遺伝子をスクリーニングしたところ、既知の細胞膜構成タンパク質に加えて、細胞膜と細胞壁の境界に存在するアラビノガラクタンタンパク質(AGP)、及び細胞膜成分である脂肪酸の代謝に関わる脂肪酸不飽和化酵素(FAD)が、重要な役割を果たしていることが明らかになった。特にAGP8、AGP24、AGP40、並びにFAD8のT-DNA挿入ラインは、重力刺激を受けても正常な抗重力反応を示さなかった。 さらに、DNAマイクロアレイにより、細胞膜成分の代謝や機能に関わる遺伝子群の発現を解析した結果、メカノレセプターMCA、膜ラフト構成タンパク質及びその合成に関わるタンパク質、セルロース合成酵素、AGP及びFADの主要なメンバーをコードする遺伝子の発現が過重力環境下では上昇し、微小重力環境下では低下することが明らかになり、抗重力反応への関与が支持された。これに対して、プロトンポンプ遺伝子群の発現は重力環境に関わらず安定であり、抗重力反応におけるその機能は遺伝子発現レベル以外の過程で制御されていることが示された。
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