2014 Fiscal Year Research-status Report
OSASの多様性に対応した個別化治療の構築―薬物療法の可能性の探索―
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25515004
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山内 基雄 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30405378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 弘 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20195374)
吉川 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (80271203)
藤田 幸男 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60571023)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 睡眠時無呼吸症候群 / 呼吸不規則性 / CPAP / 薬物療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の標準的治療法は経鼻的持続陽圧呼吸(CPAP)療法であるが、CPAPを拒否したり継続できない患者が少なからず存在する。しかしながらCPAPの代替的あるいは補助的な治療戦略は未だ確立されていない。このような背景のもと、呼吸安定化作用をもつ薬剤が有効であると予測できる患者に対して、実地臨床で用いられることが殆どないOSASに対する薬物療法の有用性を明らかにすることが本研究の目的である。対象は、覚醒時安静呼吸が不規則であり、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)でCPAP療法の適応と診断されたOSASのうちCPAP不耐患者とした。炭酸脱水酵素阻害薬(アセタゾラミド)およびセロトニン1A受容体作動薬(クエン酸タンドスピロン)の急性期および慢性期効果の検討を行った。現時点での解析終了症例は6例(投与薬剤の内訳:アセタゾラミド5例、クエン酸タンドスピロン1例)である。薬剤単回投与下でPSG(急性期効果評価)を行ったところ、覚醒時安静呼吸不規則性はアセタゾラミド投与群では5例中4例で、1例のクエン酸タンドスピロンクエン投与症例で改善を示した。アセタゾラミド投与症例中1例は無呼吸低呼吸指数(AHI)がCPAPの保険適応であるAHI 20を下回るまで改善したためCPAPを中止。その改善効果は3ヶ月後も維持していることをPSGで確認した。AHIが20を下回るまで改善しなかった症例のうち4例に対してCPAPと当該薬剤を3ヶ月間継続併用したところ、全例でCPAP使用状況は改善傾向を示した。 さらにOSASに有効な新たな薬剤を探索するなかで、脳波覚醒閾値を上昇させる薬剤が有効であると予測できる症例を識別する手法として、覚醒から入眠に伴う換気量低下の度合いにおける個人差が有用である可能性を示すことができた (J Clin Sleep Med 2015, in press)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究について、奈良県立医科大学医の倫理委員会での承認を得ることに時間を要したこともあり、解析終了症例は6例にとどまっているものの、着実に臨床研究登録症例を増やしており、さらに平成26年度は慢性期効果を検討することもできている。またOSASに対する薬物療法の有効性を予測する新たな指標についての原著論文もアクセプトされており、進捗としてはおおむね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに登録症例を集積し、それぞれの薬剤の急性期および慢性期効果の検討を継続していく予定である。また症例の蓄積を待って原著論文を作製する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究について、奈良県立医科大学医の倫理委員会での承認を得ることに時間を要したこともあり、解析終了症例は6例にとどまっている。また本邦の高血圧治療ガイドラインに従って治療を行っても降圧効果が十分でない高血圧合併OSAS症例に対してクエン酸タンドスピロンの投与を行っているため、該当症例が少なく、クエン酸タンドスピロン購入にかかる費用および本臨床研究参加者に対する謝金(薬剤の評価目的の睡眠検査にかかる費用の一部を還付)が予算を下回ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究は臨床介入試験であるため、臨床研究賠償責任保険に加入し、薬剤に起因した健康被害の発生に備えている。そのため継続して保険加入にかかる費用が発生する。また炭酸脱水酵素阻害薬(アセタゾラミド)は睡眠時無呼吸症候群で保険適応となっているが、セロトニン1A受容体作動薬(クエン酸タンドスピロン)は睡眠時無呼吸症候群では保険適応となっていないため当該薬剤を購入する必要がある。また薬剤の効果評価には入院の上のPSGが必要になるために、臨床研究参加症例に対して引き続き検査入院にかかる費用の一部を負担する謝金が必要である。急性期効果を評価するPSG入院の待機症例も存在し、引き続き症例登録および慢性期効果の検討が増加する平成27年度において、以上の研究費は増加すると思われ、平成26年度から繰り越した研究費も使用する予定である。
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Research Products
(10 results)