2015 Fiscal Year Research-status Report
慢性睡眠不足状態でのナルコレプシー類似状態の検討-携帯型脳波計を用いて
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25515005
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
碓氷 章 文京学院大学, 保健医療学部, 客員教授 (40203517)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 過眠 / 情動脱力発作 / HLA-DQB1*06:02 / ナルコレプシー / 睡眠潜時反復検査 / 平均睡眠潜時 / SOREMPs / 平均レム潜時 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)我々が提唱するナルコレプシー1型(NT1)睡眠潜時反復検査(MSLT)基準の妥当性 平成25・26年度の研究で、NT1(=narcolepsy with cataplexy and HLA-DQB1*06:02 positivity; N/C/0602)はMSLT平均睡眠潜時(MSL)2.38分以下・入眠時レム期(SOREMP)3回以上・平均レム潜時(MRL)3分以下であることが分かった(ROC曲線)。上記MSLT変数3条件を全て満たす例をMSLT陽性として、この妥当性を検討した。 平成27年4月以降に終夜睡眠ポリグラフィ(NPSG)と翌日のMSLTを行い、DQB1タイピングも行った58名を対象とした。MSLT陽性・陰性と診断としてのN/C/0602・それ以外とにより、感度・特異度・陽性的中率(PPV)・陰性的中率(NPV)を算出した。感度・特異度・PPV・NPVは0.636・0.936・0.700・0.917であった。 被検者数が不十分であるため、28年度に症例を追加する。 (2)MSLT指標による患者の群化 平成26年4月~27年3月にNPSG/MSLTを実施し、SRBD・PLMD等を除外した360名データを解析対象とした。MSLとSOREMP出現回数を用いてクラスタ分析を行った(クラスタ数は4を採用)。群1(54名)は他3群より情動脱力発作を有する者が多く、NPSG睡眠潜時・レム潜時が最も短かった。群1に対する最適カットオフはMSL 2.63分(感度 0.852、特異度 0.797、AUC 0.886)、SOREMPs 3回(感度1.000、特異度 0.964、AUC 0.986)であった。群1に典型的ナルコレプシーが入ると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25~27年度の3年間で以下の結果を得た。(A-1)<大学生は睡眠不足状態>大学生264名を対象とした睡眠日誌記録より、夜間睡眠時間は平日5.80時間、休日7.69時間であった。また、大学生72名を対象とした携帯型脳波計(1ch EEG)による在宅睡眠記録(平日1夜)では、総記録時間が男性256.70分、女性313.45分であった。(A-2)<1ch EEGはNPSG/MSLTの完全なる代替とならない>大学生23名にNPSG/MSLT、1ch EEGを同時に行った。1ch EEGとNPSGの判定一致率・kappa係数は0.792・0.666、1ch EEGとMSLTとは0.842・0.674であった。1ch EEGは覚醒・レム睡眠を過剰判定、深睡眠を過少判定する傾向があった。(B-1a)<主観的眠気は休日の長時間睡眠で軽減>大学生73名を対象とした多変量ロジスティック回帰分析で、強い眠気(ESS≧15)を示す者のodds比は休日睡眠時間が1時間長いと0.25になった。(B-1b)<客観的眠気は強い>大学生21名に行ったMSLTでは、ナルコレプシー域(MSL≦8分かつSOREMPs≧2回)5名、特発性過眠症域(MSL≦8分かつSOREMP<2回)10名、正常域(MSL>8分)6名だった。(C-1)過眠を訴えて睡眠外来を受診し、NPSG/MSLT、DQB1タイピングを行った97名を対象とした。NT1(=N/C/0602)のMSLT最適カットオフは、MSL 2.38分以下・SOREMP 3回以上・MRL 3分以下であった(ROC曲線)(論文投稿準備中)。(C-2)(C-3)は上記研究実績概要(1)(2)である。 研究実績概要でも述べたように、(C-2)NT1に対するMSLT基準の妥当性検討が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、達成度の項で述べた(C-2) NT1に対するMSLT基準の妥当性検討を進める。28年度前半には十分な症例数になると見込んでおり、解析を行う。研究成果は10月に開催される日本臨床神経生理学会で発表する予定である。 (C-1)については論文投稿準備を進めており、28年度中には投稿する。また、これ以外の研究成果も論文化を進める。
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Causes of Carryover |
27年度は、(C-2)新たに提唱するMSLT基準のvalidation、(C-3)MSLT指標の群化を行った。(C-3)は既にPSG/MSLTを行った者を対象としたが、(C-2)は新規にPSG/MSLTを行った者を対象とした。除外基準を厳しく定めたため、年度当初に目標としていた症例数に至らなかった。このため補助事業期間延長を申請し、認められた。 直接経費は旅費、その他(C-2被検者のHLAタイピングなど)に使用し、残額(513,068円)が次年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
その他(C-2被検者のHLAタイピング、論文投稿校正等)に用いる。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] 学生の主観的眠気は休日睡眠で軽減する2015
Author(s)
碓氷 章, 小倉史也, 酒林晃子, 藤原由佳梨, 増山里枝子, 川良徳弘, 井上雄一
Organizer
日本睡眠学会
Place of Presentation
栃木県総合文化センター・宇都宮東武ホテルグランデ(宇都宮)
Year and Date
2015-07-02 – 2015-07-03
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[Presentation] 学生はMSLTで病的結果を呈しやすい2015
Author(s)
小倉史也, 碓氷 章, 酒林晃子, 藤原由佳梨, 増山里枝子, 川良徳弘, 井上雄一
Organizer
日本睡眠学会
Place of Presentation
栃木県総合文化センター・宇都宮東武ホテルグランデ(宇都宮)
Year and Date
2015-07-02 – 2015-07-03
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[Presentation] 携帯型1ch脳波計による睡眠検査の有用性と限界2015
Author(s)
碓氷 章, 小倉史也, 酒林晃子, 藤原由佳梨, 増山里枝子, 川良徳弘, 柏木香保里, 吉田政樹, 井上雄一
Organizer
日本睡眠学会
Place of Presentation
栃木県総合文化センター・宇都宮東武ホテルグランデ(宇都宮)
Year and Date
2015-07-02 – 2015-07-03