2015 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災における養護教諭の実践分析と自然災害対応養護教諭研修プログラムの構築
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25516005
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
工藤 宣子 千葉大学, 教育学部, 准教授 (60305266)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 養護教諭 / 心的疲弊 / 研修プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東日本大震災の被災県に勤務する養護教諭及び、被災県の養護教諭を支援した他県より派遣された養護教諭を対象にしたインタビュー調査等の結果を活用し、養護教諭の心的疲弊を防ぐ研修プログラムを構築するものである。 3年目の平成27年度は、昨年度明らかにした養護教諭の心的疲弊の要因を考察する目的で、引き続き先行研究・関連文献の収集・既存の研修プログラムの収集および分析を通じて文献的考察を行った。その結果、阪神・淡路大震災以降、警察・自衛隊および看護の分野では、支援者支援という概念や支援者の心的疲弊の要因等、ある程度の研究の蓄積が行われていること、特に看護の分野では「災害看護学」という学問領域などが構築されるまで研究が発展していることが明らかになった。一方、養護教諭の領域でも、東日本大震災以降、被災地の養護教諭から多くの発表が行われてきているが、その内容は実践報告等にとどまり、研究の蓄積というレベルには到達していないことが明らかになった。その上、近接領域ではすでに自明の事実である「共感疲労」「代理受傷」等の「惨事ストレス」と思われる状態が養護教諭の実践分析等では「本人の限界」として分類されており、大規模自然災害発生時、教職員の中で最もPTSDを発症するする可能性が高い養護教諭を支援する体制が整っていないことが明らかになった。なお、本研究成果は、「大規模災害発生時の養護教諭のメンタルヘルスに関する文献的考察-養護教諭に求められる職務に起因する心的疲弊の要因-」、「大規模自然災害に関わる養護教諭関連研究の動向-支援者支援・二次受傷・教育プログラムに着目して-」として発表した。また、養護教諭対象の研修会の中で、「演題:東日本大震災と養護教諭」として講演した。 最終年度の平成28年度は、これまでの研究成果をプログラムとしてまとめ、成果を広く公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究成果として、大規模自然災害発生時、児童生徒の心身の支援に大きな力を発揮すべき養護教諭の領域において、支援者支援についての研究の蓄積がほとんどされていないことは明らかになった。しかし、学内事情により、計画通りに研究を進めることができなかった。そのため、研究を1年延長して行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成28年度は、これまでの研究の集積および、他領域(特に看護の領域)の研修プログラムを参考に、大規模自然災害発生時に支援者の心的疲弊を予防するためのプログラムに必要な内容を精選し、養護教諭の心的疲弊を予防する研修プログラムを完成させる予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の学内事情により、研究に若干の遅延が生じ、研究計画を1年延長した。延長した研究を推進するための研究費が残金として残った。そのため、使用額に差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでの研究の蓄積を公表し、最終的に研究成果報告書として刊行する予定である。研究成果の公表、研究成果報告書の発行および関係各位への報告書の送料として使用予定である。
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Research Products
(3 results)