2013 Fiscal Year Research-status Report
情報通信資本は自然災害による被害を軽減させるか?:国際パネルデータによる検証
Project/Area Number |
25516009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
外谷 英樹 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40285226)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自然災害 / 情報通信産業 / 経済政策 / 国際研究者交流 米国 |
Research Abstract |
本研究の目的は、情報通信資本が様々な自然災害による人的・経済的被害を軽減させる効果があるか否かを理論的・実証的に分析することである。本年度は研究計画に沿って、以下の研究活動を行った。 1)関連文献のサーベイ:私が共同研究者であるMark Skidmore氏の所属するミシガン州立大学に3週間程度滞在し、ともに議論を重ねて必要な文献を確認し参照した。 2)関連データの整理:ミシガン州立大学に滞在中に、分析を行う際にどのようなデータが適切であり必要であるのかについての議論を行い、主に一般公表されている複数のwebサイトから原データを入手し、分析に必要なデータを作成した。 3)実証分析:整理されたデータを用いて、2種類のクロスカントリー・パネルデータによる回帰分析を行った。一つ目は、情報通信産業が自然災害の被害に直接影響を与える効果に関するものである。回帰分析では、被説明変数に自然災害による被害の指標を考え、「自然災害によって死亡した人数」を用いた。また説明変数である情報通信産業の指標については、「一般電話普及率」、「インターネットの普及率」、「携帯電話普及率」を用いた。その結果、携帯電話の普及率は、自然災害による死者数を有意に軽減させる効果があることが確認された。 二つ目は、情報通信産業が人々の信頼関係を強めることで、自然災害の被害を軽減させるという効果である。近年、信頼関係が自然災害の被害を軽減さえる効果があることが指摘されており、もし情報通信技術の発達によって、信頼関係が促進されるのであれば、この径路を通じて、災害被害を軽減さえる効果があると考えられる。回帰分析では、被説明変数に「他人をどの程度信頼できるか」という指標を用い、説明変数には先と同様な情報通信産業の指標を用いた。分析の結果は、情報通信技術は人々の信頼関係を有意に促進する効果があることを示すものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、1)関連する文献のサーベイ・整理、2)関連データの整理、3)実証分析、4)理論的背景の考察の4項目を行う予定であったが、1)、2)に関しては作業がほぼ完了した。3)については、最初の回帰分析およびそれを改訂する作業を行い、現在も進行中である。4)については、3)の実証分析と関連させながら、分析をすすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って、引き続き研究を行っていく。平成26年度は、これまで行ってきた実証分析結果を整理しまとめた上で、論文の作成を行い、国内外の学会で発表していく。平成27年度は、学会等で得られたコメントをもとに改訂し、海外査読付雑誌に投稿していく。また作成されたデータを電子メールやインターネットを用いて公表していきたい。
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