2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25516010
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
除本 理史 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60317906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 直樹 東京経済大学, 現代法学部, 教授 (60161056)
土井 妙子 金沢大学, 学校教育系, 教授 (50447661)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 住民の帰還 / 生活再建の困難 / 避難者の2極化 / 賠償の打ち切り / 仮設住宅の打ち切り / 長期待避 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては、福島県大熊町、飯舘村、川内村などの避難者の置かれた現状を、引き続き調査するとともに、各自治体の復興計画や政府の政策の動向などを調査し、今後の課題を明らかにするよう努めてきた。また、福島県外に避難をしたいわゆる「自主避難者」の現状についても聞き取りを実施した。さらに、生活再建と深くかかわる事業者の営業損害賠償の打ち切り問題も浮上してきたため、その点に関する調査研究もおこなった。 2011年3月に起きた福島原発事故により、福島県だけでもピーク時に16万人以上の避難者が生み出された。現在も10万人近くが避難を継続している。3ヵ年どの調査により、「避難者の2極化」というべき現状が明らかになった。すなわち、① 希望すれば原住地に戻れる条件はあるが、賠償が低額に抑えられ(あるいはすでに打ち切られ)、生活再建の困難を抱えている人びと、② 避難が長期に継続し、賠償が一定の額に積み上がる一方、原住地への帰還の展望を見出せない人びと、という避難者の2極分解である。 政府は2015年6月、福島復興指針を改訂し、賠償を打ち切って復興政策へとシフトしていく方針を鮮明にした。しかしわれわれの調査によれば、避難指示解除後も、避難者が元の地に帰還することが難しい事情が存在している。復興政策と賠償を対立的に捉えるのではなく、復興を進めるとともに、なお残る被害に対して適切な賠償を実施すべきである。 また同年6月、福島県は仮設住宅(借上げを含む)の提供を2017年3月までで打ち切る方針を決めた。しかし、われわれの川内村の調査などからも、避難指示等の解除後も避難を続けざるをえない事情を抱えた住民は少なくない。それぞれの事情に応じて「長期待避」の選択を保障しうる施策が求められる。
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Research Products
(13 results)