2015 Fiscal Year Research-status Report
東京臨海部における液状化災害の実態と社会的対応策の研究
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25516023
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Research Institution | The Institute of Politics and Economy |
Principal Investigator |
岩見 良太郎 公益財団法人政治経済研究所, その他部局等, 研究員 (50193769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮 昌平 公益財団法人政治経済研究所, その他部局等, 研究員 (00124280)
北村 浩 公益財団法人政治経済研究所, その他部局等, 研究員 (10414070)
山本 唯人 公益財団法人政治経済研究所, その他部局等, 研究員 (50414074)
合田 寛 公益財団法人政治経済研究所, その他部局等, 研究員 (90623182)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 液状化 / 埋立 / 合意形成 / 生活技術 / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度のパイロット調査をふまえ、本調査に着手した。まず、書物として公刊を計画している本調査結果報告書の全体イメージを明確にし、それに必要な調査データを本年度の最終調査で遺漏なく収集するため、過去二年間の調査研究結果をベースにしつつ、リサーチペーパーを作成した。なお、リサーチペーパーの作成にあたって、理論的課題を整理・掘り下げ、各自の問題意識を共有するため、7月に研究合宿をおこない、2日にわたる集中的議論をおこなった。 8月には、浦安市及び浦安市議からのヒアリングならびに、自転車による現地踏査をおこなった。現地踏査では、街区の土地利用特性、とりわけ、住宅地として整然とした街区が形成されているか、それとも、用途が混在し、宅地規模も異なる街区であるかが、合意形成を左右する決定的要因であることが、再確認された。さらに、この確認から、調査対象地区の類型化の再修正をおこなった。 以上の取り組みをふまえ、最終ヒアリング調査を、10月~11月に実施することを決定。しかし、その後も、これまで続いていた、合意形成の遅れに起因する、現地に入りづらい状況が改善されなかったため、ヒアリングの開始を遅らせた。 12月、浦安市自治会連合会長上野菊良氏(浦安市地域ネットワーク課同席)と面談、生活再建、復興プロセスにおいて、自治会が果たした役割について、自治会連合会長の見解をヒアリングした。合わせて、調査対象地区自治会長の紹介を浦安市に依頼し、快諾を得た。最終ヒアリングは、28年1~2月に実施できる見込みが立ったと思われたが、自治会長の紹介を受けたのは2月末、しかも、入船自治会の一自治会に止まった。3月はじめ、入船地区住民9名からヒアリングをおこなうとともに、27年度中に、ヒアリング調査を完了することは不可能であると判断、科研費の延長申請をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
浦安市における液状化対策事業の合意形成の遅れから、最終調査を1年繰り延べすることを余儀なくされた。 しかし、一定の成果はあげることができたと思われる。 1.まず、私たちの中心的テーマの一つである、まちづくりの合意形成の難しさを、浦安住民からの情報、マスコミ情報を通じて、リアルに知ることができた。 2.リサーチペーパーを、集中的な議論をへて、まとめたことから、本研究の意義と理論的課題を深めることができ、調査内容もより詳細につめることができた。ちなみに、リサーチペーパーの内容構成は、第1章 岩見良太郎「公共場と液状化対策技術」/第2章 合田寛「液状化対策事業の現状と課題―千葉市と布佐市の事例に見る」/第3章 山本唯人「千葉県浦安市における市街地液状化対策とコミュニティ―第1期埋立て地区を中心に」/第4章 小宮昌平「浦安市の戸建住宅地域の形成」/第5章 北村浩「浦安・液状化対策事業における「合意」をめぐる政治」である。 3.また、現地踏査によって、本調査における仮説と街区の土地利用のありかたが、密接に連関していることを明らかにすることができた。市民の、液状化対策事業への姿勢が、その被害状況、人生将来設計、不動産の利用・処分意向等によって異なり、条件が似通った地区は合意形成をしやすいというのが仮説であるが、そうした条件は街区の土地利用状況により規定されるということが判明したのである。4.浦安市自治会連合会会長・浦安市地域ネットワーク課とパイプ持つことができ、28年度のヒアリング調査に、自治会の協力を得られる見通しを持つことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
調査期間の1年延長が認められたことから、「液状化対策事業計画案」作成調査の合意形成のみでなく、液状化対策地盤改良工事実施に向けての合意形成をも、射程にいれて調査できるようになった。ちなみに、昨年度、浦安市は、「液状化対策事業計画案」作成調査の合意をみた16地区に対し、液状化対策地盤改良工事実施に向けての合意形成を進めたが、年度末までに合意をみたのは、1地区のみ、完全に断念されたのは2地区という状況であった。27年度が、国庫補助採択の最後の機会とされていたが、浦安市は、現在、残り13地区に対し、28年度も引き続き、合意形成を進めている。 こうした状況をふまえつつ、液状化対策事業の実施に対する意向についてもヒアリングできるという新たに機会を生かすために、今後の調査研究の進め方に、以下の3点の修正が必要であると考える。 1.合意形成が困難を極めていることから、調査もこの点により大きな比重をおく。具体的には合意形成を阻む要因はどこにあるかについて、より突っ込んだ調査をおこなう。2.調査対象地区は、昨年度はパイロット調査、現地踏査を踏まえて、①街区が整然としており、合意ができた地区②街区が整然としており、合意できなかった地区③街区が整然としておらず、合意できなかった地区④街区が整然としておらず、合意できた地区、の4類型にわけていたが、液状化対策地盤改良工事実施に向けての合意形成をも加味し、若干の組み替えをおこなう。3.ヒアリング調査票も、液状化対策地盤改良工事実施に対する意向、合意形成に踏み込んだ内容を盛り込んだものに修正する。 液状化対策地盤改良工事実施に向けての合意形成は、8月頃には最終決着されると想定し、9月からヒアリング調査を再開する。それまでの研究期間は、上記1~3までの修正作業にあてる。12月~2月は、調査報告書最終版(リサーチペーパー)作成に向けて、総括的議論を積み重ねる。
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Causes of Carryover |
調査対象地区である浦安市の液状化対策地盤改良工事着工に向けての合意形成が遅れ、27度中に、ヒアリング調査を完了することが困難になったことから、科研費延長申請をしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使途の大半は、住民からの現地ヒヤリング調査関連費にあてる。おおよその内訳は浦安市までの交通費他: 5千円/人×5人×10回=25万円 調査補助アルバイター謝金: 1万円(交通費を含む)/人×延べ人数10人=10万円 研究会費(交通費):1200円/人×5人×6回=3.6万円 参考書籍・資料費その他:6.4万円弱 を予定している。
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Research Products
(5 results)