2014 Fiscal Year Research-status Report
電気事業体制のガバナンス評価と指標構築、我が国電気産業への適用
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25518006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長山 浩章 京都大学, 国際交流推進機構, 教授 (90446617)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電力セクター / 自由化 / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究は大きく2つに分けられる。1つは「我が国及び韓国電気事業の効率性の分析と送配電事業統合の効果に関する分析」もう一つは「英国における電力自由化と原子力:我が国への教訓」というテーマで、電力セクター自由化の中における原子力政策の研究を行った。前者の論文は、平成26年度に開発技術学会論文として公表され、前者は平成27年度に公表される予定である。
前者の研究は、日本の9電力会社の送配電に関わるデータを収集しDEAの手法により、各電力会社の効率性の比較及び、各電力会社が統合された場合の効率性の向上度合のシュミレーションを行った。事業統合等により、送配電に関わるコストを削減できれば大幅な事業効率向上につながることが示された。特に韓国電力公社と九州電力の2社、関西電力と四国電力の2社、東京電力と東北電力及び北海道電力の3社の組み合わせは資産統合による効果が大きいことが明らかになった。
後者の研究は英国に注目し、現在に至る制度設計を原子力政策を軸として歴史的な観点から整理し、我が国の現状と比較したものである。 英国においては原子力発電に関し債務保証を行う他、廃炉費用なども含めて長期の投資回収に必要な固定価格と、市場価格との差額が保証される差額精算型固定価格買取制度(FIT-CfD)が、新設が決まった原発で初適用となる見通しであり、35年の買い取り予定となっている。また英国では官民が協力して倒産隔離型の原子力債務基金を組成し、新設の原発にも同様のFundを組成することを義務付けている。。本研究ではこうした英国の原子力発電に関わる事例を研究し我が国に適用できる制度設計のベストプラクティスを検討した。この調査のため2014年 8月に「ふげん」における廃炉、及び六ヶ所村の日本原燃を訪問した。また9月に英国に現地調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本予算を活用した調査を行い、論文発表を行った。また平成27年度に別の論文を発表する予定である(平成27年4月現在査読中)
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、欧米の自由化された電力市場における原子力の位置づけに関する研究を行いたい。
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Causes of Carryover |
海外での現地調査期間が短かった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は昨年度訪問できなかった欧米への現地調査を行い、質の高い情報を入手したい。
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Research Products
(2 results)