2015 Fiscal Year Annual Research Report
水道の料金規制へのヤードスティック競争導入の効果に関する研究
Project/Area Number |
25518010
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中山 徳良 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (90278854)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水道事業 / 料金規制 / ヤードスティック規制 / 効率性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,わが国の水道事業にヤードスティック規制を導入したときの効果を検討することである. 平成27年度は次の2つについて研究を行った.1つ目の研究は,ヤードスティック規制を導入する際にコントロールしなければならない事業者の置かれている外的環境についてのものである.平成26年度の研究で,規模の大きな事業者ほど技術効率的であることを示した.今年度は規模の経済性について検証を行った.これまで,ほとんどの先行研究が費用の条件付期待値を推定することにより規模の経済性を計測しているため,費用の分布全体を十分説明できていない可能性があった.そこで,分位点回帰を用いて規模の経済性について再検証を行った.計測された規模の経済性の数値によれば,わが国の水道事業には規模の経済性が存在することを示しているが,それぞれの分位点において規模の経済性を表す指標の値は同じではなく,高位の分位点ほど大きな規模の経済性を示してることがわかった. 2つ目の研究は,Felder and Schmitt (2004)による方法を適用してヤードスティック規制の導入の効果を計測したものである.彼らの方法は,報酬を与えることにより費用削減を促すものである.分析に当たっては,水道事業者の特性を考慮するため,給水人口、主たる水源、有収水量密度の3つを用いて事業者を類型化している総務省の『水道事業経営指標』による分類を用いた.その中から例として4つの分類を選び,それぞれの分類で分析を行った.その結果,どの分類においても,削減可能な費用の方が与える報酬よりも大きいことが示された.つまり,彼らの提案したヤードスティック規制を適用することにより,費用を削減できることがわかった.
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