2013 Fiscal Year Research-status Report
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25540008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水田 正弘 北海道大学, 情報基盤センター, 教授 (70174026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊達 広行 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (10197600)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腫瘍 / 生存モデル / DVH |
Research Abstract |
腫瘍に対する三大療法として、外科手術、化学療法、放射線治療がある。そのうち放射線治療は、患者への負担が小さいだけではなく、他の療法以上の治療成績を上げる場合も多い。放射線治療において、高線量を1回で照射するのではなく、少量の線量を複数回に分けて照射する分割照射放射線療法は、多くの場合、良好な治療成績を上げている。しかし、臨床的には、通常分割照射が好ましくない例も少なくない。 以上の背景より、線量効果を記述する数理モデルの代表であるLQモデル(Linear Quadratic model)等のもとで最適な分割照射計画を導出することを目的としている。ただし、危険臓器(障害を受けると危険な臓器)の体積を考慮せず、1点と見なして理論を構築した。この条件の緩和は次年度の課題とする。 本年度においては、放射線に対する臓器の生存モデルをいくつか検討し、最適な分割数を検討した。放射線治療における臨床で広く使われているLQモデルを仮定した場合、腫瘍への照射に対する危険臓器への照射の比が小さいときには、1回照射が最適となり、比が大きいときには分割回数を大きくするほどよい、との解が得られている。それに対し、LQモデルの当てはまりが悪い高線量の場合を補正したUSC(universal survival curve)モデルでは、比が小さいときの解として1回照射ではなく、数回の照射が良いとの解が得られた。LQモデルにおいて再増殖の項を入れた拡張LQモデルを仮定すると、比が小さいときの解として、具体的な最適照射回数を導出できた。以上により、USCと拡張LQモデルを組み合わせることにより、数理的な意味で最適な照射回数の導出が可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「腫瘍の生存率を限りなく小さくするとの条件下で、危険臓器の生存率を最大にするという制約条件付き問題として考えることができる。この制約条件付き問題の設定および解の考察が本研究の目的である。」に対して、各種モデルを仮定した場合の、制約条件付き問題の設定は完了し、解の考察もかなり進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
危険臓器の体積を考慮せず、1点と見なした場合の理論については、明快な結果が導出された。交付申請書研究の「平成26年度の研究実施計画」に記載したとおり、この条件を緩和した場合の理論構築を推進するため、図的な方法も含め検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、コンピュータを購入し、研究推進のための環境整備に力を入れた。また、研究成果を発表可能な学会が少なかったのと、論文投稿準備に力を入れたため、旅費の執行が予定以下となった。 2014年度の米国放射線腫瘍学会(サンフランシスコ)等での発表を計画している。
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Research Products
(3 results)