2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25540018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 宏 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (20212102)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コンピューティング / 実行モデル / アーキテクチャ / 低消費電力化 |
Research Abstract |
データ移動と処理のタイミングとデータの物理的な場所を陽に制御する新しい実行モデルを用いることによって、コンピューティングの飛躍的な高性能化と低消費電力化を目指す研究を実施した。 タイミングに関しては、外部からの供給電力に制約がある状況を想定し、蓄電池(バッテリー)を用いて電力を時間方向に融通することで、実行時間を短縮する方式の初期検討を行った。具体的には、処理が軽くシステムの消費電力が少なく余剰電力がある場合にはバッテリーを充電し、逆に外部供給電力が不足する場合には、バッテリーを放電させる。この問題を解くために、全体で許容される消費電力と処理性能の間のモデルを構築し、このモデルを用いて最適解を探索した。モデル自身はアプリケーションとハードウェアプラットフォームに依存するため、CPUとGPUの2つを対象とし、さらに複数のアプリケーションを用いて評価を行い、その有効性を確認した。物理的な場所については、アプリケーションが必要とするメモリ量が多様であることに着目し、不要なメモリは物理的に電源遮断することで、性能を維持しながら電力を削減する手法を提案した。初期実験を実施し、必要な物理メモリ量がわかっている単純な計算を実行した場合の有効性を確認した。さらに、この削減した電力をプロセッサに提供する、すなわちメモリとプロセッサ間の電力融通により、性能を向上できることも確認した。この性能向上はメモリアクセスパターンに依存することも分かった。このことは、一般のアプリケーションに対してもこれらの特徴をモデリングすることで本手法が適用可能であることをも示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、タイミングを制御する対象はデータの移動と処理であったが、さらに電力供給に関してもタイミング制御の対象としたため、実施すべき内容が広がった。その中で、実行モデルの検討については予定通りのモデル構築と初期検討ができた。一方で評価環境の構築はやや遅れたが、CPUとGPUの2種類のハードウェアプラットフォームで評価をすることができ、達成度としてはほぼ予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度となるので、評価環境のさらなる整備と有効性の検証に重点をおいて研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
タイミングを制御する対象を、データの移動と処理だけではなく、電力供給にも広げたため、実行モデル検討に注力することになり評価環境の構築の一部を次年度に回すことになったため。 次年度は最終年度となるため、評価環境の構築に注力することで、当初想定していた有効性評価を行う。また、検討結果を外部へ発信するための学会発表を積極的に進める。
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Research Products
(2 results)