2013 Fiscal Year Research-status Report
センサ単位の機能仮想化による端末間の機能共有と消費電力平滑化
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25540031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
荒川 豊 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (30424203)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | センサ連携 / 擬似センサ / センサの仮想化 |
Research Abstract |
スマートフォンに搭載されたさまざまなセンサを仮想化し、異なる端末間でネットワークを介した機能の共有を行うことを目的として、初年度はAndroid OSの拡張方式を設計、実装し、加速度センサの仮想化を実現した。 Android 4.0 以降では、位置情報(Location)を偽装する擬似ロケーション(mockLocation)という機能が搭載されている。この機能では、ユーザは任意の緯度、経度を設定して、自身の位置を偽装することが可能である。使用目的としては、位置連携アプリケーションのデバッグや、位置に関するプライバシー保護といったことが考えられる。mockLocationは、Android OSのLocationManagerを拡張する形で実装されており、上位のアプリケーションからは認識されない。つまり、インストールされているあらゆるアプリケーションに対して、そのアプリケーション自身を改変することなく、偽の値を渡している。 本研究では、この実装の仕組みを参考に、SensorManagerというさまざまなセンサを統括するクラスを拡張して、擬似センサ(mockSensor)機能を実現する。mockSensorは、そのAPIを介して、外部から任意のセンサ値を設定可能にする。本研究では、2端末間でのリアルタイムなセンサ共有を実現するため、mockSensorに加え、外部端末のセンサ値をネットワークに送出する機能を有するアプリケーション、ならびに受け取ったセンサ値を内部のmockSensorに伝えるアプリケーション、の2つのAndroidアプリケーションも開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本提案は、実現できるかどうかわからない挑戦的な研究として申請しており、申請時には、こういうアーキテクチャで実現できるのではないか検討する、という内容であった。 しかしながら、今回、その想定通りに、機能を実装することができ、mockSensorの実装ならびに周辺アプリケーションの実装まで進むことができた。 以上のことから、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、加速度センサ以外のセンサについて、仮想化と機能共有を実現するべく、実装を進めている。さらに、申請時には思いついていなかったアイデアではあるが、センサ情報の記録と再生機能も実装しているところである。申請時には、他端末とのリアルタイムな機能共有だけを考えていたが、自端末の過去のデータを記録再生できることは、センサを活用したアプリケーションのデバッグ時に有効であるという意見もあったため研究の1つとして取り入れいきたいと考えている。 これらの実装が終わったら、アクセス権制御の検討や消費電力の評価など、実用性の観点から、研究を発展させていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度には被験者実験を行うことができなかったため、謝金として申請していた部分が繰越金として残ってしまったため。 次年度では、実装もさることながら、提案の有用性、実用性を評価する必要があり、その被験者実験のための謝金として利用する。
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