2014 Fiscal Year Annual Research Report
ポイント論理・オープン論理を用いたアリの道標創発に関する実験と理論
Project/Area Number |
25540059
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
郡司 幸夫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40192570)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 認知地図 / 動物行動学 / 庭アリ / ランドマーク / 論理 |
Outline of Annual Research Achievements |
記号の論理的使用に関する矛盾とその解消は、記号間の関係と記号の意味間の関係という二つのロジックの間の矛盾とその解消として研究されてきた。二つの論理は、ポイント論理、オープン論理と呼ばれている。ポイント・オープン論理間の矛盾は、論理的操作に制限を加えることで解消された。 本研究では、論理的操作に制限を加えるのではなく、その都度局所的、時間的に矛盾を受入れる(=局所的に解消する)という作業仮説のもと、庭アリを用いて2種類の実験を構築した。第一の実験は、記号をランドマークとして与えた、アリの認知地図に関する実験である。記号に関する論理的関係(順序関係)を地理的関係として与え、その意味に関する論理的関係をアリ個体の現在位置から他の地理を解読する手続きとして与えた。まずアリには複数のランドマークの関係を学習させ、その後、アリを地理上の適当な位置に置く。このとき、アリが、どのようにランドマーク間の位置関係を把握していくかについて、その行動から評価する。ここで或る位置関係とその位置関係の想起、ランドマークの使用に関して矛盾する場合が想定可能である。それは、「または」によって結ばれたランドマークに関する矛盾であるが、アリはこのような場合、空間的に「または」で結ばれたランドマークを、「かつ」を満たすように個物化して扱うことが実験的に明らかとなった。それは矛盾を受け入れる記号の創発を意味するものだ。 第二の実験は、記号の関係を道標フェロモンの知覚、記号の意味の関係を風景の知覚として定義し、両者が矛盾する状況をアリに与えることで、矛盾がいかに解消されるかをみた。この場合もアリは、矛盾する場合を排除するように行動を制限するのではなく、むしろ矛盾を受け入れて二つの情報を共に利用するべく振舞うという結果が得られた。
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