2013 Fiscal Year Research-status Report
ウェアラブル体験記録を援用した「忘れる場」の記録・解析・検出
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25540082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 裕一 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (40227947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 靖彦 龍谷大学, 理工学部, 講師 (10288665)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヒューマンインタフェース / 記憶支援 / ウェアラブルコンピュータ / エピソード記憶 / データマイニング |
Research Abstract |
本研究は,日常的な環境で「どのような出来事を覚えられない・思い出せないか」という根本的な問題の調査を行うために,(a)個人視点や環境視点の映像によって外面的な行動を詳細に記録し,(b)記録されたデータと本人の想起との詳細な比較やデータマイニングなどによるパターン発見を行うことを目的としている.平成25年度は(a)について研究を進めた. まず,調理行動を計測するためのシステムとして,複数の深度カメラをキッチンに設置し,他のセンサ(頭部に装着した主観カメラ,加速度センサ)などと同時に,姿勢の詳細なデータを取得できるように設計し,実際にデータを取得している.現在は頭部,上半身,手,作業対象等の位置関係を基に作業者の状態を推定する手法を検討している段階である. また,大阪府障がい者自立センターとの協力関係を作り(倫理委員会の承認済み),高次脳機能障害の患者のための調理を記録し,それを作業療法的な観点からケースワーカ,作業療法士とともに,記憶と行動の振り返りのために利用するための研究に着手した.これまで,複数人の複数回の調理行動を記録し,そこから姿勢を計測する調査を進めている. 関連する研究として,頭部装着カメラから得られる主観視点映像からより広視野な画像を復元し,行動を行った環境を理解しやすくする手法を提案した.また,作業者を遠隔地の支援者が支援する映像対話型行動支援に関し,作業者の振る舞い,支援者の補助などのパターンを大量データから類型化し,その特徴と作業の円滑さなどとの関係を調査する手法を提案した.作業に関する大量データからのパターン発見や特徴抽出の基礎的方法として活用できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(a)個人視点や環境視点の映像によって外面的な行動を詳細に記録することについて: 研究実績で述べたように,頭部,上半身,手の動きを詳細に計測するシステムを実装し,キッチンでの収録を始めたことなどから,順調に研究が進んでいると言える.種々のセンサとの統合にはこれから取り組む予定であるが,複数のモダリティの関係付けなどは,関連研究によって方法論がある程度明らかになっており,今後の順調な進展が期待できる. (b)記録されたデータと本人の想起との詳細な比較やデータマイニングなどによるパターン発見を行うことについて: 振る舞いと記憶との関連性を洗い出すことは26年度の課題となっているが,その方法論は映像対話型行動支援の手法として既に述べたように,ある程度まとまってきている.また,想起をしやすくなるように,主観映像から広視野画像を生成し,シーン毎のインデックスにする方法も援用可能である. (c)その他研究状況について: 高次脳機能障害患者の作業療法へ適用など,当初はまだ決まっていなかった応用に関する見通しが得られ,研究の目的,また,その方法とも,より実社会でのニーズに即したものとなることが期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,視線計測による記録システムの拡張に取り組むとともに,「記録データの解析」と「記憶支援手法の検討と設計」に重点的に取り組む. (1)記憶に特に関わりが深いと考えられる視線に関する振る舞いを詳細に記録できるように,高サンプリングレートの視線計測デバイスを新たに設計する. (2) データ解析のために本人や周囲の人の主観的体験を記録する際に,記録システムから得られる客観的なデータに加え,単純な内省でなく,刺激として収録データを提示しながら想起を促す手法を検討し,刺激データの良さ,質問の良さなどを調査する. (3)視覚情報や他人からの働きかけなどの受動的な要因,動作,注目・視線,志向などの主体的要因と発汗や心拍などの生理的要因等,種々の要素の相互関係を調査する. (4)記憶支援手法の設計のために,記録データの解析を基に,忘れやすい状況,逆に,想起しやすい状況の類型化を行う.さらに,状況を想起しやすい部分の自動検出を検討する.これに基づいて環境設定を種々に変更しながら再実験を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品として予定していた経費に対し,44,213円が残った. 次年度の消耗品費に合わせて使用する.少額であるため,研究計画に変更はない.
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Research Products
(16 results)
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[Presentation] EMSトレーニング中の筋の状態推定を目的とした誘発筋電位の計測2013
Author(s)
北尾憲一, 近藤一晃, 中村裕一, 秋田純一, 戸田真志, 櫻沢繁
Organizer
電子情報通信学会報告, vol. 113, no. 147, MBE2013-28, pp. 15-20, 2013
Place of Presentation
徳島大学
Year and Date
20130719-20130720
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