2013 Fiscal Year Research-status Report
情報サプリメントを実現するための情報提示技術の確立
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25540084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
寺田 努 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70324861)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 情報提示 / 虚偽情報 / ウェアラブルコンピューティング / プライミング効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ウェアラブルコンピューティングの普及による常時情報閲覧環境において,ユーザの心身への影響があるかないか,また,正しく情報を伝えるためにはどのような仕組みが必要かをあきらかにすることである.具体的には(1)虚偽情報フィードバックに基づく身体情報制御技術の確立,(2)プライミング効果を考慮した情報提示技術の確立,(3)状況認識技術を活用した状況別の情報認知特性の評価研究,の3点のサブテーマを推進した.その成果として,虚偽情報の提示によって特に心拍などの生体情報が変化することを示した研究がジャーナル採択され,また,プライミング効果により,装着型ディスプレイに表示した内容が人間の行動に影響を与えることを示した論文が国際会議会議録に採択された.前者の研究は,心拍センサや体温センサ等を用いて得た生体情報をフィードバックして常時閲覧する健康管理システムや行動アドバイスシステムなどにおいて,センシング結果をそのまま提示するのではなく,虚偽情報を提示することで心身を錯覚させ,身体情報を制御するものである.この成果は情報提示が人間の心身に影響を与えることを示した画期的な成果であった.さらに,状況に応じて,人間への情報提示の認知度がどう変化するかを調査した研究3件が国際会議に採択された.これは,例えば装着型ディスプレイを用いる際に,歩行時や人混みではどのように注視状況が変化するかを調べたものであり,人混みでは注視時間が短いためテロップなどの常時注視が必要な提示方法は使うべきでないなどのガイドラインを示している. これらの成果は常時情報閲覧環境における情報提示の基盤として活用可能なものとなっており,初年度の成果としては申し分ない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画において提示した内容におおむね沿った成果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
各サブテーマにおける問題点抽出および方式改善を行うとともに,各サブテーマの内容を統合し,実環境における統合システムの構築に向けての取り組みを推進する. (1) 虚偽情報フィードバックに基づく身体情報制御技術の確立:平成26年度は,虚偽情報として利用する要素を拡充しながら引き続き実験を行い,虚偽情報の効果の測定および定式化を推進する.また,虚偽情報の種類だけでなく,その提示の仕方(グラフ,数値等)によって虚偽情報の効果がどの程度変化するかを調査する. (2) プライミング効果を考慮した情報提示技術の確立:平成26年度は,調査する視覚情報および聴覚情報を拡充した実験を行い,またそれらに加えて触覚や嗅覚など他の五感情報を用いたプライミング効果の影響を調査する.さらに,複数チャネルの情報を統合したプライミング効果の誘発を検証するなど,実生活においてプライミング効果を効果的に発現させるための取り組みを推進する. (3) 状況認識技術を活用した状況別の情報認知特性の評価研究:装着型ディスプレイの調査を継続するとともに,音声情報提示やスマートフォンの画面など,すでに普及しているデバイスに対しても状況別の認知特性調査を行う.それぞれの調査結果をもとに,ユーザにもっとも情報が伝わるように自動的に情報提示方式を切り替える手法を提案する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおむね予定通りの執行であったが,3%程度の余りがでた.これは急遽調査に出かける必要が生じた場合の旅費分(47,542円)であったが,使用しなかったため繰り越しとした. 大きな金額変更ではないため,予定通り執行する.残額は次年度旅費に充当する.
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Research Products
(8 results)