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2013 Fiscal Year Research-status Report

想定外の状況に対応するための社会シミュレーション基盤技術

Research Project

Project/Area Number 25540095
Research Category

Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research

Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

和泉 潔  東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10356454)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2015-03-31
Keywordsマルチエージェントシステム / 社会シミュレーション
Research Abstract

当初の計画通り、平成25年度は下記の基盤技術の研究開発に関する成果を得た。
(1)ミクロデータによる行動モデル構築手法: 各エージェントは時間的に変化する状態変数を持つとし、状態変数から観測可能なエージェントの行動が導出される。実データの解析により、状態空間モデルのパターン分類を行い、エージェントの行動モデルを構築する手法を開発した。(2)マクロデータによるモデルパラメータ設定: モデルのマクロな設定(パラメータ)を変えて、各設定のもとでのシミュレーションの平均的な結果が、実世界のマクロな挙動にどれだけ近いかを評価するモデルパラメータの最尤推定法を開発した。(3)対話型シナリオ構成: 可能世界ブラウザでは、モデルの状態変数の途中状態を記録しておく。そして、特定の途中状態からその後のシミュレーションを再開して、シミュレーション結果を継ぎ足すことが出来る。上述の継ぎ足し操作で、同じ途中状態から異なるパスを待つシミュレーション結果が作り出される。その中からある特定時点までの挙動が興味深いパス集団を選択する。このようなシミュレーション結果の選択と融合により、興味深いパスをシミュレーションにより作り出していく手法を開発した。(4)逆問題解析: 構成したパスに関して、各エージェントの内部状態がどのように変化していき、内部状態のあるクラスが社会全体でどのような分布となることが、特定の現象の必要条件であるかを分析する手法を開発した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成25年度の計画に対して、(1)ミクロデータによる行動モデル構築手法と(3)対話型シナリオ構成については、マーケティングとweb広告を題材として、ジャーナル論文2編(b)(c)として成果を発表した。(2)マクロデータによるモデルパラメータ設定については、金融市場を題材として、書籍1編(a)とジャーナル論文1編(d)として成果を発表した。モデル化手法の構築といくつかの分野における試作システムの構築に関して順調に進展したと考える。
(a)川久保 佐記, 和泉 潔, 「第10章 金融市場分野における危機管理」in 板生 清 監修, 「危機管理方法論とその応用」, シーエムシー出版, pp. 197-214, 2013.
(b)和泉 潔, 池田 竜一, 山本 仁志, 諏訪 博彦, 岡田 勇, 磯崎 直樹, 服部 進, 可能世界ブラウザとしてのエージェントシミュレーション ~ ターゲットマーケティングへの応用 ~, 電子情報通信学会論文誌 D, Vol.J96-D, No.12, pp.2877-2887, 2013.
(c)柴田 一樹, 和泉 潔, 磯崎 直樹, 吉村 忍, 閲覧行動タイプに基づいたウェブ広告配信シミュレーションモデル, 電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌),Vol. 133 (2013) No. 9 P 1762-1769.
(d)水田 孝信, 和泉 潔, 八木 勲, 吉村 忍, 人工市場を用いた値幅制限・空売り規制・アップティックルールの検証と最適な制度の設計, 電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌),Vol. 133 (2013) No. 9 P 1694-1700.

Strategy for Future Research Activity

平成26年度は、前年度に引き続き基盤技術開発を行うと共に、下記の実問題の分析結果を反映させ、想定外のリスクとチャンスを分析対象にした可能世界ブラウザの実問題応用への手法開発を行う。
1.市場制度設計: 数時間から数日間までの比較的短期間の市場の不安定性という、まれに起こるリスクを予防するための市場制度設計を目的とする。高頻度市場データを分析して、ユーザに制度や取引戦略と市場安定性の関係を提示し、制度設計で設定すべき要素を示唆するための応用技術を開発する。ユーザが要素を考慮しながら、新たな市場制度や取引戦略を提案し、人工市場シミュレーションにより制度が市場安定性に与える影響を評価する技術も開発する。
2.マーケティング応用: 数週間から数カ月間の特定商品ブランドのマーケットシェア急増という、まれにチャンスを引き起こすためのマーケティング戦略を探るために可能世界ブラウザを応用する実証研究を行う。研究協力者から抵抗されたID付POSデータをもとにしたエージェントベースのマーケティングシミュレーションを構築する。そして、ある商品分野を対象として、あるブランドの売上が増加するというシナリオをシミュレーションで作り出し、どのようなエージェントのタイプが態度変容すれば、そのようなシナリオが起こりうるかを調べる。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 可能世界ブラウザとしてのエージェントシミュレーション ~ ターゲットマーケティングへの応用 ~2013

    • Author(s)
      和泉 潔, 池田 竜一, 山本 仁志, 諏訪 博彦, 岡田 勇, 磯崎 直樹, 服部 進
    • Journal Title

      電子情報通信学会論文誌 D

      Volume: J96-D Pages: 2877-2887

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 閲覧行動タイプに基づいたウェブ広告配信シミュレーションモデル2013

    • Author(s)
      柴田 一樹, 和泉 潔, 磯崎 直樹, 吉村 忍
    • Journal Title

      電気学会論文誌C

      Volume: 133 Pages: 1762-1769

    • DOI

      10.1541/ieejeiss.133.1762

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 人工市場を用いた値幅制限・空売り規制・アップティックルールの検証と最適な制度の設計2013

    • Author(s)
      水田 孝信, 和泉 潔, 八木 勲, 吉村 忍
    • Journal Title

      電気学会論文誌C

      Volume: 133 Pages: 1694-1700

    • DOI

      10.1541/ieejeiss.133.1694

    • Peer Reviewed
  • [Book] 危機管理方法論とその応用2013

    • Author(s)
      板生 清、 川久保 佐記, 和泉 潔 他
    • Total Pages
      252
    • Publisher
      シーエムシー出版

URL: 

Published: 2015-05-28  

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