2014 Fiscal Year Research-status Report
連分数とスケール不変な一般化指数関数による複雑系の情報構造の解明
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25540106
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
須鎗 弘樹 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 教授 (70246685)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | q-指数関数 / Tsallisエントロピー / α-ダイバージェンス / 大偏差原理 |
Outline of Annual Research Achievements |
指数関数を特徴付けのなかでも最もよく知られている式は,基本的な線形微分方程式である.その最も簡単な非線形化である非線形微分方程式の解として得られるq-指数関数は自己相似性をもつ一般化指数関数である.その自己相似性に着目し,連分数の構造が存在するが,未だその全貌がわかっていない.その解明のために,q-指数関数に基づくランダムウォークを研究する過程で,一般化二項分布を発見した.この導出の流れは,次の通りである.基本的な線形微分方程式(指数関数の特徴付け)→非線形化→基本的な非線形微分方程式(q-指数関数の特徴付け)→q-指数法則の要請→q-積→q-スターリングの公式→一般化二項分布の導出.q-スターリングの公式には,大きく分けて,よく使われる簡単な近似式と,より精密化した近似式の2種類がある.後者の精密化した近似式から,直接的に,一般化二項分布が導かれる.この一般化二項分布の最大の特徴は,その定式化から,q-ダイバージェンスと言われるKLダイバージェンスの一般化が直接導かれる点である.二項分布の一般化は非常に数多く知られているが,その定式化からKLダイバージェンスの一般化が得られるのは,研究代表者の知る限り,この定式化だけであろう.しかも,q-ダイバージェンスは,情報幾何の分野で広く知られるα-ダイバージェンスとほぼ同じである.この結果から,大偏差原理の一般化の具体的な例が得られる.つまり,q-ダイバージェンスあるいはα-ダイバージェンスをレート関数とする大偏差原理の重要な例が導かれた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連分数との関係については,部分的に結果は出ているものの,未だ納得できる枠組みが見えていないので,学会発表には至っていない.しかし,その研究の過程で,一般化二項分布の発見,そこから導かれるq-ダイバージェンス(あるいは,α-ダイバージェンス),大偏差原理の一般化の具体例など,今後の展開に非常に重要な結果が得られているため,おおむね順調と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
q-ダイバージェンス(あるいは,α-ダイバージェンス)をレート関数としてもつ大偏差原理の発見,それに直接的に関係する一般化二項分布の発見により,自己相似性をもつq-指数関数の代数にしたがって,各種確率分布の導出の可能性が非常に高くなった.また,関連する重要な極限定理,特に,中心極限定理と大数の法則の一般化に向けて,急ぎたいと考えている.
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Causes of Carryover |
研究打合せのための出張旅費が,当初の予定ほどかからなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究発表または研究打合せのための出張旅費として使う予定である.
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Research Products
(5 results)