2014 Fiscal Year Research-status Report
複雑ネットワーク結合力学系における自己組織化機構の解明と制御
Project/Area Number |
25540108
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中尾 裕也 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (40344048)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 非線形ダイナミクス / ネットワーク / 反応拡散系 / パターン形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、複雑ネットワークを介して相互作用する要素集団における自己組織化現象の探求と解明、およびその設計・制御手法の開発を目的とする。特に、ネットワーク結合力学系における非自明な非一様ダイナミクスの自己組織化の可能性を探求してその生成機構を解明し、また望ましいダイナミクスを制御・設計するための手法の開発を目指す。平成26年度は本研究計画の2年目であり、ネットワーク結合力学系および関連する非線形ダイナミクスに関する以下のようなトピックに関する研究を実施した。(i) ネットワーク上の反応移流モデルにけるTuring的な不安定性の解析を行った。ネットワーク上を移流する興奮性・抑制性因子系の数理モデルにおいて、一様状態が不安定化して非一様なパターンの自己組織化に至るプロセスに関して研究を進めた。その結果、従来の反応拡散系におけるTuring不安定性とは定性的に異なるタイプの不安定性が生じうることが分かった。(ii) ネットワーク結合力学系の示す集団振動に対する縮約理論の展開。自律的なダイナミクスを持つ非線形要素がネットワークを介して相互作用する結合力学系におけるマクロな集団リズム現象に対して、その位相応答特性を解析した。(iii) その他、単純な相互作用により生物の群れのような集団ダイナミクスを実現するアクティブな素子集団の数理モデルのパラメータ推定に関する研究や、相関のあるノイズを与えることにより自励振動子集団の同期パターンを制御する研究等を行った。得られた結果の一部は、国内外の学会および国際学術論文誌にて発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反応移流系における非一様なパターン形成に関する解析は既に進んでおり、研究会等で簡潔な発表を行っている。今年度中には成果を論文としてまとめる。結合力学系の集団振動に関する研究も本質的な理論部分はできており、今後その応用例について考察の上公表する。他の関連するテーマについても研究や結果の公表を進めつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に引き続き、複雑ネットワーク結合力学系における自己組織化機構に関する研究を進め、そのダイナミクスの制御等への応用を考察し、成果を公表する。
|
Causes of Carryover |
平成27年度に複数の国際学会での発表を予定しており、多額の旅費が必要となるため、予算を残した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
現時点で、国際学会での発表を平成27年度の前期に2件、後期に1件予定しており、主としてその旅費に使用する。
|
Research Products
(10 results)