2014 Fiscal Year Research-status Report
表情識別インターフェースによる自閉症児の快感情の定量的検討
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25540128
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
舟橋 厚 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 教育福祉学部, 室長 (10190125)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害児 / 動物介在活動 / ASD児の笑顔とポジテイブな社会的行動促進 / ASD児の笑顔とネガテイブな社会的行動の減少 / 笑顔識別インタフェイス / 快情動場理論 / ロボット介在活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物介在活動(Animal-assisted activity:AAA)を自閉症スペクトラム障害のある子供(ASD児)に対して実施すると、問題行動の減少やコミュニケーション行動の促進が観察される。この現象にはASD児に快情動場が形成されることが重要であるとの理論的な仮説を証明するため、笑顔を指標とした定量的測定を装着型笑顔識別インタフェイスを用いて実施した。AAA中に生起した彼らの笑顔を定量的に測定し、セッションを重ねると笑顔が増加すること、そして笑顔が増加するとASD児のポジテイブな社会的行動が促進されることを明らかにし、Journal of Autism and Developmental Disorders に公刊した。さらにAAA実施によりASD児に生起した社会的コミュニケーション行動促進の現象が彼らの日常生活で定着する程度を確認するために、25年度と26年度にわたり縦断的な研究を継続し、AAAセッションごとの笑顔量等の定量的測定を行い、同時にビデオでASD児童の表情、ジェスチャー、行動(特に犬とのかかわり方やドッグセラピストや母親との関わり方など)を記録・解析した。さらに、新規にロボット介在活動(RAA)をAAAと同様の手続きで実施し、笑顔をデバイスで測定した。またASD児の笑顔と共感性の関連性を検討するため、face to face behaviors および looking at the face of the robot行動と笑顔との同期性の解析を試み、フィールドカメラ・天井カメラ・ロボットアイカメラによりASD児がロボットの顔部分(特に目の位置)をどの程度注視するか、ASD児がロボットの目の部分を注視する行動と笑顔の生起が同期する程度を定量的に解析した。この結果の一部はイギリスで開催された国際学会および neuro2014で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
25年度に動物介在活動中のASD児の笑顔と社会的行動のデータが短期、中期のセッション期間について順調に取得できたことにより、長期にわたる縦断的研究データの取得にH26年度で進むことができた。現在、縦断的研究データを6名のASD児より順調に取得中である。また、動物介在活動データが予想以上に進展できたため、26年度においてはAAAのポストセッションを活用したロボット介在活動(RAA)ではなく、新規にロボット介在活動による単独実験を組むことができた。こちらの実験は自閉症児18名、定型発達児(コントロール)18名を用いて行ったため、H25年度のAAAによるデータ解析に比較して、データ解析量が多いため、解析にやや時間がかかることが想定されるが、現在のところ順調に解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度、26年度の研究結果により動物介在活動(AAA)中の9名のASD児と7名の定型発達児(コントロール)の笑顔データについては新たに論文としてまとめ,投稿先を選定中である。一人ひとりのASD児の笑顔がどのように発達するかについては26年度で得た縦断的なデータを詳細に検討する必要があるので、引き続き解析を進めるとともに、27年度もAAAを実施してデータ取得を継続する。また新規ロボット実験により、ASD児がロボットに対して「face to face行動およびlooing at the face of the robot 行動」と「笑顔」を同期させる程度が、定型発達児に比較して低いことと、同期がずれることが明らかになってきたので、この点の解析をさらに進めてる。このことにより、ASD児は他者とのアイコンタクトや、他者の顔を見ることを避ける傾向があるという一般的に広く信じられている医学的知見は実は、必ずしも固定的なものではなく、ASD児はアイコンタクトをする能力がないわけではなく、発達心理学的に未発達であるので、ロボット介在活動や動物介在活動などの適切なアプローチにより快感情を生起させることができれば、彼らもアイコンタクトを指標とするような「共感性」を促進することが可能であるという一つの仮説を提案できる可能性があるので、27年度は精力的にロボット介在活動のデータ解析を継続したいと計画している。
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Causes of Carryover |
26年度中に英文校閲を依頼する予定であった論文原稿の完成が図表の改良のため若干遅れることとなった。そのため、27年度中に英文校閲依頼をすることになったので、26年度中に使用する予定であった英文校閲費が27年度に繰り越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は動物介在活動中のASD児の快感情測定を継続しつつ、今まで蓄積した動物介在活動実験のデータに基づく論文作成・公刊およびロボット介在活動実験のデータ解析と成果発表(学会発表と論文公刊)を主として行う計画である。そのため、新規に解析装置等を購入する予定はなく、実験補助者やデータ解析補助者への謝金、学会発表の旅費、論文原稿や図表の印刷に必要なインクジェットプリンター用インクなどのOA機器や文房具等の購入が主とした使用内容になると考えられる。
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[Presentation] The smiles of children with autism spectrum disorder during animal-assistedactivities may facilitate their positive social behaviors and decrease negative social behavior –Quantitative analysis with smile-detecting interface.2014
Author(s)
Funahashi, A., Gruebler, A., Aoki, T., Hirokawa, M., Kadonem, H. and Suzuki, K.
Organizer
The 37th annual meeting of the Japan Neuroscience Society
Place of Presentation
パシフィコ横浜
Year and Date
2014-09-12 – 2014-09-13
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