2013 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子発現スイッチを有する哺乳類人工染色体ベクターの開発
Project/Area Number |
25540134
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大林 徹也 鳥取大学, 生命機能研究支援センター, 准教授 (80348804)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 人工染色体ベクター / ゲノム改変 / ゲノムプログラム / ゲノム編集 / 遺伝子発現 / インテグレース |
Research Abstract |
申請者らが開発してきたヒト人工染色体(HAC)ベクターは、遺伝子導入細胞や遺伝子導入動物作製に極めて有効なアイテムである。このHACベクターを発展させていくことでは、哺乳類細胞を人工遺伝子で創るときに必要な「人工染色体」として活用できる可能性がある。本研究では、HACベクターに導入した遺伝子の発現をon / offできるシステムを構築している。平成25年度は、申請者が2011年に発表したマルチインテグレースシステムを応用して、新たに3種類の遺伝子交換スイッチの開発に成功した。「マルチインテグスシステム」をとは、ファージが大腸菌ゲノムに挿入される際に利用される部位特異的組み換え酵素インテグレースを哺乳類細胞での遺伝子導入に適用するようにしたシステムである。3種のルシフェラーゼ遺伝子と3色の蛍光タンパク質遺伝子を3種の遺伝子交換スイッチシステムが機能するように配置した人工染色体ベクターを構築し、この人工染色体を保持するマウス培養細胞を作製した。この細胞は3種のスイッチのon /off の組み合わせにより最大8色にパターン化されて光ることを実証した。さらに転写レベルでの遺伝子発現を制御するためにTet On Systemの人工染色体ベクターへの活用を試みた。Tet On Systemは、ドキシサイクリン依存的に遺伝時発現を制御するシステムである。このシステムが人工染色体を保持する培養細胞でも機能することを検証した。 2014年度に急速に発展したためCRISPR/Cas9を始めとしたゲノム編集技術と申請者が開発してきた技術を融合させることで、目的の遺伝子スイッチ開発をより推進することができる。そのため当初は予想していなかったが、本研究課題でも最新のゲノム編集技術の導入を始めた。 またシステムバイオロジーへの活用のための共同研究も開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の部位特異的組換え酵素インテグレースを用いることで、現時点で哺乳類培養細胞の染色体上の遺伝子を任意に交換できる遺伝子スイッチの開発にシステムを確立した。当初の予定通り、システム生物学に活用できる遺伝子発現スイッチの開発に成功しているため、目的を充分に達成していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
H25年度はCRISPR/Cas9 システムといった新しいゲノム編集技術が急速に発展した。申請者が開発している遺伝子発現スイッチを有する哺乳類人工染色体ベクターはこの分野の発展に大きく貢献できると考えている。申請者が2011年に発表したマルチインテグレースシステムを応用して、新たに3種類の遺伝子交換スイッチの開発に成功した。このシステムは不可逆的に遺伝子を交換するシステムであるが、このスイッチに加えて、転写レベルでの遺伝子発現を制御するスイッチおよびタンパク質分解による遺伝子産物を抑制するスイッチを人工染色体ベクターに搭載させる。これらの技術を進めることにより、これまで以上にゲノムをコントロールすることが可能になる。これらの技術を進展させれば哺乳類細胞のゲノム改変をより簡便に行うことができるため、システム生物学分野での高等生物での理論の検証などに貢献できると考えている。今後は、ゲノム編集やシステム生物学の分野の研究者と連携しながら研究を推進する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度では人工遺伝子作製の価格が大幅に低下したため予定より物品費が少なくなった。H26年度には当初計画に含まれていなかったゲノム編集技術を本格的に導入しようと考えている。このためには人工遺伝子合成が必要であるため、次年度に物品費として繰り越した。 ゲノム編集技術の本格的な導入のための人工遺伝子合成およびこれを用いた細胞アッセイに必要なキットの購入に用いる予定である。
|
Research Products
(6 results)