2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25540155
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 卓己 京都大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80211944)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歴史情報 / メディア史 / 流言蜚語 / パニック / 災害報道 / くちコミ / うわさ / デマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「近代日本における流言効果のメディア史的研究」は、デマ、うわさ、陰謀論など流言蜚語や誤報がメディアと世論形成に与えた影響に関する歴史研究の基盤形成を目的として開始した。史料批判を前提とする歴史研究では、これまでこうした曖昧な情報は周辺化され、体系的研究は進んでいない。 最終年度にあたり、研究成果は前年度から引き続き『季刊 考える人』(新潮社)の連載「〝メディア流言〟の時代」として公刊した。本年度は第6回「焼け跡ジャーナリズムの〝真相〟」、第7回「〝原子マグロ〟の風評被害」、第8回「ヒトラー神話の戦後70年」を扱った。第6回に関連した成果として「〝八月ジャーナリズム〟の終焉―〝戦後七〇年報道〟始末」(『新潮45』2015年11月号)、拙編著『岩波講座 現代』第5巻の「総説―〝戦後70年〟に歴史の再編を見すえつつ」を公表したほか、第8回に関連して英語論文"Consumption of Nazi Culture Images in Postwar Japan"( 『京都メディア史研究年報』2015年4月)および『ヒトラーの呪縛―日本ナチカル研究序説』上下(中公文庫・2015年6月)も公刊した。 また本研究の理論的な整理として拙編著『岩波講座 現代』第1巻に「デジタル社会における〝歴史〟の効用」を執筆した。全体を取りまとめた成果は、連載分に増補して新潮社から『メディア流言の時代』(仮題)として2017年に刊行予定である。
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Research Products
(16 results)