2013 Fiscal Year Research-status Report
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25540158
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田中 健次 茨城大学, 教育学部, 教授 (10274565)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本音楽学習 / コンテンツ開発 / デジタル教材 |
Research Abstract |
本研究では、公立浜松楽器博物館と演奏家の協力を得て、日本伝統音楽のデジタルコンテンツ(とくに動画)の収集・撮影を行い、①学校教育関係者(とくに音楽教育)への提供と、②作成したデジタルコンテンツをもとにPPTとFlashを組み合わせたデジタル教材を作成する。これらデジタルコンテンツは、音楽教育における日本音楽学習の補助教材、自己学習教材として有効に活用できるとともに、海外の日本伝統音楽研究者の研究に寄与することになる。 平成25年度においては、学校教育の音楽教師82名(平成25年7月25日)に対してアンケートを実施し、次の三点を明らかにした。小中学校の音楽教育の場においては、①児童生徒における日本音楽の実技指導は筝82%、三味線14%、尺八4%であり、筝が実技指導の中心的な楽器になっている。②多くの音楽教師は三味線の実技指導を導入したいと考えているが(より日本的な楽器であるため)、楽器の不足とともに指導法が不明なため指導法に関する資料(データ)を必要としている。③実技指導等ができない楽器や音楽ジャンル(例:文楽等)ほど動画等の補助教材を必要としている。 また日本音楽学習で必要とする具体的なデジタルコンテンツの内容について聞き取り調査をした。コンテンツ内容の上位四点として、①楽器の構造、②歴史、③奏法、④日本音楽の全体像と楽器等との関係性が挙げられた。 これらの結果を反映して、平成25年度では、箏に焦点を絞り、公立浜松楽器博物館との協働のもと、演奏家の協力をえて動画(楽器の構造、歴史、演奏者による実演)を撮影し(420分)、それらデータを編集したうえで、PPT等で汎用性をもつWav形式とAVI形式に変換した(合計45分:外注)。そのうでえPPTデータを読み上げソフト(SofTalk)を用いて自動化を試み、箏学習で自己学習や教師の指導用として活用できるデジタル教材を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度で作成した「筝」のデジタルコンテンツとそれをもとにしたデジタル教材(PPTデータを読み上げソフト(SofTalk)によって作成)では、「楽器の内部の構造」「楽器の発音システム」「琴と箏との違い」「アジアの箏類と日本の箏との違い」「生田流と山田流の奏法と楽曲の違い」等を取り入れた。 実演については演奏家(富山清仁氏)の協力のもと、とくに楽器への姿勢等を重視した動画・静止画を作成し、それらデータをPPT等で汎用性をもつWav形式とAVI形式に変換し(変換については外注)、そのうえPPTデータを読み上げソフト(SofTalk)を用いて自動化を試みた。これらの教材は、教師の指導用補助教材として活用できるよう考慮した。そのうえで、音楽教育関係者にデータの教育的有効性について確認をし、好評価を得ることができた。なお、平成25年度中に予定していた三味線のデジタルコンテンツ開発については、予算の都合上、平成26年度に実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度で作成した「筝」のデジタル教材と同様に、平成26年度では「楽器の内部の構造」「三味線の分類」「歴史(とくに三線との関係、三味線音楽の派生とその後の流れ)」「地歌の実演」等をデジタルコンテンツ開発とデジタル教材化する。 あわせて学校教育で必要とする「日本伝統音楽の全体像(概要)」「雅楽」「声明」「能楽」「地歌箏曲」「琵琶楽」「 尺八楽」「浄瑠璃」「 歌舞伎」「民謡」の各項目において、無償で活用できる画像を収集し、本研究の深化を狙う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた演奏家への謝金等が少なく済んだこと、またH25年度に予定していた三味線音楽に関するデータ作成の一部をH26年度で外注する予定があるため、予算を平成26年度に繰り越した。 平成26年度で、三味線の動画データをビデオで撮影したのち、PPTデータで活用できるAVIデータに変換するため、専門業者に外注する。また関係データの収集のために、データを所持する研究機関等への出張等を予定している。あわせて関連学会での発表を予定している。
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Research Products
(1 results)