2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25540168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武田 一哉 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (20273295)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 主観的類似度 / 音楽推薦 |
Research Abstract |
本研究では、楽曲間の主観的類似度を楽曲間類似度と聴取者の個人性という2つの要因から成ると考える。聴取者の個人性には、楽曲間のどのような特徴に着目して評価するか、及び、どのくらい似ていたら似ていると評価するという2つがあると考えられるが、先行研究より「どのくらい似ていたら似ていると評価するか」に大きな個人差があることが明らかになっていた。本研究では、楽曲間の主観的類似性が、楽曲間類似度と聴取者がどのくらい似ていたら似ていると感じるか(以下、許容度と呼ぶ)から決定されると考え、被験者による「似ている」・「似ていない」の 2 段階の楽曲間類似性評価データから、その2つの要因を分析する手法について考える。 本手法では、被験者×楽曲ペア(2つの楽曲の組)の類似性回答行列において、「似ている」要素を行列の下三角領域に集めることにより、被験者と楽曲ペアの特徴を同時に分析することができる。具体的には、被験者×楽曲の類似性回答行列の各行・各列に対し、被験者の許容度・楽曲の類似度をそれぞれ対応させ、「似ている」・「似ていない」点を共に許容度×類似度の平面上で表す。回答行列の下三角領域に「似ている」要素を集めるという問題を、識別問題として定式化することにより、楽曲間の類似度評価を楽曲間の類似度と被験者の許容度に分解する手法を考案した。 また、本手法の応用として、データベースにいない新しい被験者が楽曲評価を行った際に、既存の被験者との判定パターンの類似を用いて許容度を推定し、少数の評価データから許容度の推定を行う手法を考案した。数十名分の類似性評価データを用いて、各被験者・楽曲に対する許容度と類似度をあらかじめ求めておくことで、単純な手法で許容度を推定するよりも少ないデータ数で類似性評価の予測が可能となることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では、楽曲間の主観的類似性を、楽曲間類似度と聴取者がどのくらい似ていたら似ていると感じるかにより分析していた。しかしながら、聴取者の個人性には、「どのくらい似ていたら似ていると感じるか」以外にも、「楽曲間のどのような特徴に着目して評価するか」という要素もある。今後の研究では、楽曲間類似度を複数種類の類似度から成ると考え、各要素に対応する許容度を推定するよう手法を拡張する。また、昨年度では許容度×類似度の平面上での「似ている」・「似ていない」点の識別問題としての定式化を行ったが、「似ている」要素を行列の下三角領域に集める手法の他の定式化を考える、より手法を洗練させる事を目指す。 応用としては、本手法により得られた被験者の特徴に基づき、被験者の類型化を行う。これにより、主観的類似性予測の個人適応をより効率的に行うことができるため、大規模データなどに対して手法を適用することが容易になると考えられる。また、主観的類似度推定手法を楽曲検索システムとして実装し、実用の場面における有用性と問題点について実証実験を行う。
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