2015 Fiscal Year Annual Research Report
氷海環境リアルタイムモニタリングブイシステムの開発
Project/Area Number |
25550002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
青木 茂 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (80281583)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環境変動 / 環境分析 / 海洋機器開発 / 極地 / モニタリング(リモートセンシング以外) |
Outline of Annual Research Achievements |
地球規模の気候変動の解明と予測において、海洋が持つ膨大な熱容量や水循環における役割の重要性から、海洋、特に南極海をはじめとする観測の困難な極域海洋でのモニタリング体制の構築が急務となっている。本研究では、近年急速に発展した漂流型中層ブイの浮力制御技術と衛星通信技術を応用して、氷海域でも運用可能な海洋鉛直プロファイル観測機能と観測結果のリアルタイム送信機能を有する係留型ブイ観測システムの開発を目的とした。本研究では、沿岸大陸棚域を想定し、極域海洋で400m程度までのプロファイルを取得可能なリアルタイムブイシステムの設計・実海域試験を行った。同時に、実際のブイの動作条件を明確化するために、ブイの設置海域における流速をはじめとする海洋環境の計測も実施した。 オホーツク海知床ウトロ沖において、夏期および冬期の通算7ヶ月にわたって実海域試験を行った。センサーブイについては、浮上下降動作、待機深度の制御、衛星通信によるデータ通信、海氷期間を含む半年間の長期連続耐久運転、海氷下浮上・停止動作といったプログラムした動作のすべてに成功した。通信成功率つまり海面浮上頻度は全浮上回数の二割以下に留まったが、実測流速により、これは現行のブイの浮上限界流速が約25cm/s程度であることに起因することも確認した。同時に強流速に対する中間係留ブイシステムの姿勢傾斜についても知見が得られた。これらにより、極域沿岸海洋での実運用に耐えうるリアルタイムモニタリングシステムの基盤技術はほぼ確立したといえ、今後さらに高度な海洋条件での運用に対応するための基盤を得ることができた。
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