2014 Fiscal Year Annual Research Report
高精度塩素同位体比によるメタンハイドレート賦存海域の環境評価法の開発
Project/Area Number |
25550011
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
張 勁 富山大学, 理工学研究部(理学), 教授 (20301822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 章 富山大学, 理工学研究部(理学), 教授 (20126494)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メタンハイドレート / メタンプルーム / 塩素同位体 / 日本海東縁 / アスファルトシープ / ブラジル沖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,これまで報告が少ない塩素同位体比に着目し,メタンハイドレート(MH)の実態把握の指標としてその有用性を検証し,さらに底層水・堆積物(間隙水)中の各種安定同位体比等マルチプルな地球化学指標を併用することで,日本海MHモニタリング手法の確立を目標としている。同時に,MH賦存状況が異なる世界の未観測海域であるブラジル沖と上越沖海域のMHを比較検討することも目的とし,将来的に海底由来メタン放出の実態把握を目指している。 最終年度は,野外研究調査を行うと同時に室内での分析方法開発実験及び試料分析に力を入れた。野外研究調査は5月に長崎大学水産学部練習船「長崎丸」を利用して,浅層・表層海洋の環境影響モニタリングを行った。また, 2014年7月に東北海洋生態系調査研究船(学術研究船)「新青丸」を利用して,比較海域である東シナ海の泥火山周辺海域におけるメタンプルーム周辺の水塊構造や海水の化学特性のモニタリングを行った。 室内での分析方法開発実験では,真空ライン及び前処理法(Wu and Satake,2006)を用いて,より簡便で高精度の塩素同位体比分析における前処理法の改良を進めた。また,MH賦存海域である上越沖及び未観測海域であるブラジル沖で採取した底層水及び堆積物間隙水において化学分析を行った結果,以下のことが明らかになった。1)上越沖堆積物中の間隙水には著しい硫酸還元が生じており微生物活性が高く,微生物活性の栄養源はMH由来のメタンである;一方,2)ブラジル沖堆積物では硫酸還元が確認されず微生物活性は低く,堆積物間隙水中のリン濃度も極めて低い;また,3)ブラジル沖アスファルトシープにおける堆積物間隙水中のケイ酸濃度勾配が高く,海底面下の油田活動は他の潜航サイトよりも活発であることが分かった。
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Research Products
(10 results)