2014 Fiscal Year Annual Research Report
衛星熱赤外データよる黄砂検出手法の開発と適用可能性に関する研究
Project/Area Number |
25550016
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鵜野 伊津志 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70142099)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 由香里 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (30462493)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 熱赤外観測 / 黄砂 / 衛星リモートセンシング / ライダー / IR Split Window |
Outline of Annual Research Achievements |
極軌道衛星CALIPSOに搭載された赤外放射計IIRから得られる熱赤外データを用いて、ダストの典型的な検出手法であるIR Split Window法による黄砂検出を行った。また、同時に静止衛星MTSATの観測データからも黄砂検出を行った。従来の研究では、静止衛星による熱赤外の観測データを利用して黄砂の検出を行っていたが、本研究では、極軌道衛星であるCALIPSOの観測データを検証に使用している。CALIPSOには、赤外放射計IIRとミー散乱ライダーCALIOPが搭載しており、熱赤外データと黄砂濃度の鉛直分布を同時に観測しているため、熱赤外データによる黄砂の検出結果について黄砂濃度による評価が可能である。これらの観測解析の検証を目的として、黄砂輸送モデルとして、RAMS/CFORSを用いて輸送シミュレーションも行った。その結果、IR Split Window法では輝度温度差(12 μm-11μm)が黄砂の存在によって負から正に値を変える特性を利用して黄砂を検出できた。 特に、黄砂現象が観測された日時に注目し、CALIPSOの軌道に沿って観測結果を比較した。輝度温度差の値は、ダストの光学的厚さの増加と正の相関が見られ、検出手法の有意性が確認できた。MTSATの輝度温度差とCALIPSOの輝度温度差には系統的な差が見られ、MTSATの方がより滑らかな空間的変動を示す傾向が判った。次に、輝度温度差と光学的厚さの散布図からその対応を比較した。黄砂が薄く均一に存在する場合、輝度温度差の変動に対し、光学的厚さの変化が少なく、分布の相関性が下がる傾向を示していた。また、輝度温度差の空間変動は、水平的な平均化の強いMTSATよりもCALIPSOの方が大きく、相関係数が低い値を取る傾向が見られた。さらに、湿度が高い場合に負の相関になる傾向あり、本手法の限界となった。
|