2014 Fiscal Year Research-status Report
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25550022
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
栗田 直幸 名古屋大学, 環境学研究科, 特任准教授 (60371738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平沢 尚彦 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (10270422)
藤吉 康志 北海道大学, 低温科学研究所, 特任教授 (40142749)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 南極観測 / 水蒸気同位体 / 昭和基地 / フェーン現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究概要】 第55次南極地域観測隊(夏隊)の観測から得られた水蒸気同位体データを使って、昭和基地で観測された温暖イベントの成因について解析を行い、その成果を国際誌に投稿した。また、昨年に引き続き、水蒸気同位体計測システムを砕氷艦「しらせ」に搭載し、豪州から昭和基地までの海洋上、および昭和基地周辺の海氷上で水蒸気同位体比の連続観測を実施した。 【投稿論文の要旨】 昭和基地の夏期に観測される日平均気温が0度を越える温暖イベントの成因を調べる目的で、第55次南極地域観測(夏隊)期間中、地表水蒸気の同位体の連続観測を行った。水蒸気の同位体比の時間変化は、気団変化に応答していることが明らかとなり、同位体データを使って、昭和基地に移流してくる気団は以下の3タイプに分類することができた:(1)海氷のない海洋から移流してくる気団、(2)大陸内部の氷床から移流してくる気団、(3)沿岸域から氷床を越えて昭和基地に移流してくる気団。このうち、温暖イベントは、(3)の気団に昭和基地が覆われた時に観測された。昭和基地沖に低気圧が停滞し、南極沿岸にそって吹く北東風が氷床を越えて昭和基地まで運ばれてきており、フェーン現象が起きていたと考えられる。このことを裏付けるように、温暖イベント発生時には湿度の低下が観測された。2000年以降に発生した温暖化イベント21事例についても解析を行ったところ、同様に南極沿岸で北東風が卓越していることが明らかとなり、昭和基地における温暖イベントにはフェーン現象が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的は、昨年度に引き続き、第56次南極地域観測隊(夏隊)に参加して水蒸気同位体観測を実施するとともに、第55次観測で得られた成果を投稿論文としてまとめることである。南極観測においては、砕氷艦「しらせ」に分析装置を搭載し、豪州から昭和基地間の水蒸気同位体比を連続して採取することができた。さらに、昨年の経験を活かして補正プログラムを修正し、昨年度よりも高精度のデータを修得できた。また、成果報告においても、第55次観測で採取したデータを使って昭和基地に移流してくる水蒸気の起源を同定し、その結果を国際誌に投稿するなど、着実に成果を出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書では、今年度は第57次南極地域観測隊(夏隊)に隊員として参加し、「しらせ」と南極大陸内部の2地点で同期観測を行う事を計画していたが、南極地域観測計画の変更に伴い、内陸観測は中止となった。今年度は昨年と同様に、「しらせ」を使った昭和基地周辺での水蒸気同位体比観測を実施する予定である。また、これまでの研究成果から、「昭和基地における温暖イベントはフェーン現象によって引き起こされている」という作業仮説を立てることができたので、第56次観測で採取したデータを使ってこの仮説を立証していきたい。
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