2013 Fiscal Year Research-status Report
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25550024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 義久 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授 (20302672)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放射線 / 癌 / DNA二重鎖切断 / DNA修復 |
Research Abstract |
本研究は、放射線によって生じるDNA 損傷の中で最も重篤と考えられるDNA 二重鎖切断(DSB)の非相同末端結合(NHEJ)による修復において、プロセシングの必要がある損傷とない損傷の選別機構(これを「トリアージ」機構と呼ぶこととする)を明らかにすることを目的としている。本年度は、さまざまな末端形状を有するDSB 基質を用いたin vitro 実験系の構築を中心に行った。具体的には、細胞抽出液に制限酵素処理したプラスミドを加えて反応させた後、PCR法で結合産物の量を解析することを試みた。まず、既報を参考に細胞抽出液の調製法、修復(結合)反応の条件を確立した。次に、制限酵素処理時における未消化DNAの増幅が問題となることが分かった。この問題は、プライマーを1種類のみ加え、いわゆるhead-to-head型の増幅産物を検出することで解決することができた。さらに、リアルタイムPCR法によってより定量的に修復(結合)活性を評価する実験法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroでのDSB修復実験系の構築においては、当初予想していた以上に制限酵素処理時の未消化DNAが問題となることが分かった。この解決に時間を要したが、プライマーの工夫により一つの解決法を見出した。さらに、リアルタイムPCR法を組み合せることにより、オリジナルの実験系ができつつある。全体的に見れば、おおむね当初計画通りの進捗度であると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitroでのDSB修復実験系の構築については、本年度は反応産物解析を中心に行う予定としていたが、ビオチン化基質とTaqmanプローブを用いた新たな手法も考案したので試したい。 また、一昨年から昨年にかけて、新たなゲノム編集技術として、RNAをガイドとして部位特異的にDNA切断を生じるCRISPR/Cas9システムが登場した。Cas9は異なる触媒ドメインによって両鎖の切断を独立に行うと考えられ、一方の触媒ドメインに変異を導入することにより、片鎖のみを切断することも可能である。これによって、さまざまな長さの5’-あるいは3’-突出を持つ切断を細胞内で作ることが可能である。本研究申請時においては、この技術はこれほどの注目を集めておらず、本計画もこれを視野に入れたものとはなっていなかった。これまで行ってきた試験管内反応系に加え、CRISPR/Cas9システムを積極的に導入することで、より多くの知見を得たい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
概ね計画通りの執行状況であるが、試薬類の割引等によって、5万円弱の残りが生じた。 本研究計画に照らして、必要あるいは有用な試薬類の購入に充てる。
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