2014 Fiscal Year Research-status Report
自然放射線遮蔽による細胞増殖低下の分子メカニズム―生物における自然放射線の役割
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25550035
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川西 優喜 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70332963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 淳 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, 研究員 (20437255)
白石 一乗 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40347513)
八木 孝司 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80182301)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自然放射線 / マイクロアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
自然放射線遮蔽下でマウス細胞を培養すると、非遮蔽時にくらべ増殖が低下する。なぜこのような現象がみられるのか、その分子メカニズムは未解明である。そこで本課題では、高性能な自然放射線遮蔽装置と最新のオミクステクノロジーを用いて、自然放射線遮蔽下で発現の変動する遺伝子・ パスウェイを網羅的に探索する。 本年度はDNAマイクロアレイ解析を用いて発現解析をおこなった。しかしながら、自然放射線遮蔽下で培養したマウス胸腺リンパ腫L5178Y細胞と、自然放射線非遮蔽下で培養したL5178Y細胞を比較したところ、発現量が変動した遺伝子はみつからなかった。 この実験では、500 [個/mL]の密度で培地に懸濁したL5178Y細胞を、自然放射線遮蔽/非遮蔽の条件で6日間培養した。また、培養器(2つ)全てを遮蔽装置外に設置し培養する実験、すなわち自然放射線存在下で培養器のみの差を見る陰性対照実験もおこなった。6日後、約1.5×10e6 [個/mL]に増殖した細胞からtotal RNAを抽出した。分解等のみられないアレイ解析に適した品質のRNAであることを確認後、アジレント社製SurePrint G3 遺伝子(マウス)発現アレイを用いて2カラー解析をおこなった。 その結果、培養器間の差を見る陰性対照実験では300個以上の遺伝子が2倍以上の変動を示したが、アレイの60,000スポットもしくは約20,000遺伝子の数パーセント以内であり、低シグナル強度ものがほとんどで、これらの変動は見かけ上のもので、アレイ測定系の誤差と結論づけた。自然放射線遮蔽/非遮蔽の培養でも変動遺伝子を観察したが、陰性対照実験で認められたスポットたちであり、自然放射線遮蔽特異的に発現量が変化した遺伝子は見いだせなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度(25年度)にマイクロアレイ解析をおこなえず予定より遅れが生じた。この遅れが本年度に及んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の比較条件では発現変動遺伝子がみつからず、当初予定していた解析がおこなえない。このため、RNA抽出時期が最適であったかを確認する。さらに自然放射線遮蔽下/非遮蔽下で培養した細胞の細胞周期をFACS解析で比較する。
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