2015 Fiscal Year Annual Research Report
発がん物質による立体的遺伝子損傷:ゲノムワイド解析による配列特異性と脆弱性の解明
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25550036
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
岡本 誉士典 名城大学, 薬学部, 助教 (50512323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 仲夫 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, その他 (80333178)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マウス胚性幹細胞 / 紫外線照射 / ゲノム修飾 / 未分化マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、紫外線に曝露したマウス胚性幹細胞を用いて幹細胞のDNA損傷に対する細胞応答を解析した。マウス胚性幹細胞は紫外線(10 J/m2)照射により細胞増殖抑制が認められたが、照射48時間後までには増殖能が回復していた。シクロブタン型ピリミジンダイマー(CPD)生成量は紫外線照射後速やかに減少して24時間後には約30%まで減少していた。これに相関するように、いくつかの未分化マーカー発現は照射3時間後において顕著に低下していたが、それ以降はコントロールレベルまで回復した。したがって、マウス胚性幹細胞内では紫外線照射後3-24時間において異常細胞の修復あるいは排除などの応答が進んでいるものと考えられる。このタイムポイントにおいて、がん抑制遺伝子p53およびその下流遺伝子(p21,Gadd45a,Mdm2,Puma,Bax,Msh2)のmRNA発現変動を評価した結果、Gadd45aおよびPuma発現が有意に上昇したのちにMdm2発現が後を追うように上昇し、48時間後までにはコントロールレベルまで回復した。以上のことから、マウス胚性幹細胞は紫外線曝露によるゲノム中CPD形成に応答してゲノム修復およびアポトーシスが進行していることが示唆された。これは並行して実施した分化細胞であるマウス胚性線維芽細胞の結果とは明らかに異なっており、幹細胞に特有の応答性であると考えられる。
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