2013 Fiscal Year Research-status Report
新規アレルギー誘発・増悪物質の探索のための腸管機能模倣型インビトロシステムの開発
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25550040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
太田 壮一 摂南大学, 薬学部, 教授 (10213729)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アレルギー誘発・増悪物質 / インビトロ検出システム |
Research Abstract |
本研究は、食事を介して非意図的に摂取した化学物質の第一次汚染部位である腸管粘膜において、そのバリア機能破綻能を有し、尚且つアレルギーの誘発あるいは増悪作用をも有する化学物質の探索に極めて有用な、簡便・迅速且つ高精度な腸管機能模倣型 in vitro システムを開発することを目的としている。平成25年度においては、マウスT リンパ腫細胞株に卵白アルブミン(OVA) を発現させたE.G7-OVA 細胞を、OVA もしくはOVA を免疫したマウスの抗血清で刺激すると、IL-4の発現量が上昇することを観察した。次に、当初の本インビトロシステムでは、Transwell プレートの上層側に、腸管膜モデルとしてのCaco-2細胞を、そして、下層には、マウスT リンパ腫細胞株を用いていた。しかし、ヒトを対象とする検出システムであることから、ヒト由来のT 細胞株を用いることとした。そこで、ヒトT 細胞株のHPB-ALL 細胞とJurkat 細胞を検討対象として、上記の3種の細胞を培養し、それらの増殖能やサイトカイン産生能等について、比較検討を試みた。その結果、増殖能及びサイトカイン産生量に関して、HPB-ALL 細胞が最も良好な結果を示し、とりわけ、INF-γやIL-13が大量に産生されていた。また、更なる高感度化を目指して、モデル抗原であるOVAに着目し、現行で用いているOVA (45 kDa) より小さく、マウス抗OVA 抗体の可変領域(抗原認識部位) をフレキシブルなペプチドリンカーで結合させた単鎖可変領域フラグメントであるscFv-OVA (30 kDa) を作製を試みたところ、その作製に成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトの細胞系にも着目し、その培養及びサイトカイン産生の最適条件に関する検討も加えたことにより、当初の予定よりは若干遅れてはいるが、概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度では、種々の健康有害物質を用いて、上記の腸管機能模倣型in vitro システムに供し、各物質のアルルギー誘発・増悪に関する評価を行う。また、その評価において、有毒性が高い化合物を対象に、マウスを用いたin vivoによる検討を試みる。具体的には、OVAを主なアレルゲンとする他、新たな試みとしてのダニアレルゲンを投与したアレルギー誘発モデルマウス(雌性BALB/c マウス、C57BL/6 マウス及びNC/Nga マウス) を用いて、アレルギー誘発・増悪物質を経口投与し、血清並びに各種洗浄液(鼻腔粘膜、膣粘膜、腸管粘膜等) 中の抗原特異的な抗体価(IgG、IgA、IgE) を ELISA 法によりモニタリングする。なお、予めモデル抗原を投与し、アレルギーを発症させた後に、探索物質を投与した場合や、探索物質を投与した後にモデル抗原を投与する等の、適宜、免疫条件を変更しながら、種々の検討を試みる。
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Research Products
(14 results)