2013 Fiscal Year Research-status Report
ミクロキスティスコロニー破壊珪藻を用いたアオコ防除対策法の研究開発
Project/Area Number |
25550057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
ハオ 愛民 九州大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (40586971)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アオコ群体 / 珪藻 / 水質 / 植物プランクトン |
Research Abstract |
本研究は,水利用の障害となり,生物多様性の貧粗化を引き起こしているMicrocystisによるBloom(アオコ)に対する省エネルギーで持続性のある生態的防除法を開発することを目的としている.1年目は,アオコが発生している貯水池水を用い,ケイ酸栄養塩の供給による室内藻類混合培養実験を行った.また,MCDD(アオココロニー攻撃型珪藻)の単離培養を試みた.さらに,アオコが発生している福岡県唐津市の打上ダムの実水域で,ケイ酸栄養塩無添加の対照区とケイ酸栄養塩添加の処理区の2区画のビニル隔離メソコズム(各約1m3)実験区を設置し,同水域から採取したアオコを同量添加後,処理区にゲル状ケイ酸栄養塩500gを添加して現場実験を行った.それらの水質及び植物プランクトン組成の変化を調査し,珪藻によるアオコ抑制効果について検討を行った. 室内実験において,ケイ酸添加により水中のCyclotella,Nitzschia等の珪藻の増殖が促進され,実験開始時に優占していたMicrocystisが抑制される現象が認められた.また,藻類間の競合において劣位にあった緑藻が二次的に増殖し,Microcystisがさらに抑制された可能性も示された.現場実験においても,室内実験と同様に、ケイ酸栄養塩添加処理区において珪藻及び緑藻が増殖し,Microcystisが抑制される傾向が示された。ただし、室内・現場実験とも,MCDDとなる可能性があるMicrocystis群体中に侵入もしくは付着する珪藻(Nitzschia)は観察されたが,群体内でさらに増殖しMicrocystisの増殖に直接的に影響を及ぼす現象は確認できなかった.1年目の研究成果として,ケイ酸塩栄養塩添加によって珪藻,緑藻の増殖による両面からMicrocystis属の増殖を抑制する技術開発につながる成果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由としては,これまでの研究において,珪藻の増殖によるアオコ抑制効果は確認できたが,MCDDによるMicrocystis colonyの直接的破壊作用は確認できず,MCDDの単離培養もできていないこと.藻類の栄養塩利用特性,水温特性との関係及び藻類間の競合関係を十分に把握できなかったことがあげられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究実施計画としては以下のとおりである. 1.引き続き,自然界におけるMCDDの分布状況,特性などを把握する.採取したMCDDの種の同定,単離培養を試みる. 2.ケイ酸栄養塩の連続供給による藻類混合培養の室内実験を行い,水質とプランクトン組成の結果より,アオコの増殖抑制の効果について検討を行う. 3.アオコが発生しているダム水域において,メソコズムを2区画追加し4区画とし,ケイ酸塩供給方法,珪藻のアオココロニー接触促進法の検討を行い,詳細にアオコ防除効果及び水域生態系影響を確認する. 4.これらの結果により,本法の現地適用方法の検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
室内培養実験の生物分析,珪藻単離培養作業に要する機材及び現場メソコズム実験における水質計測の実施及び水質浄化機能の解析のため費用が必要である. 水質計測ロガー,顕微鏡レンズ,画像処理・記録装置,試薬などの備品の購入及びプランクトン組成同定分析費用,研究成果の発表で研究費用を計上している.
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