2014 Fiscal Year Annual Research Report
ポリ塩化ビフェニルの代謝効率向上を目指したP450酵素変異体の創製と局在性改変
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25550064
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
乾 秀之 神戸大学, 遺伝子実験センター, 准教授 (90314509)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ポリ塩化ビフェニル / P450 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
(3)P450変異体の作製とPCB代謝試験 PCBの毒性低下のためにはP450による脱塩素化反応により塩素原子を減らすことが重要と考えられる。そこで、脱塩素化反応に関わっていると考えられるP450の基質結合キャビティー(基質が結合する部位)を構成するアミノ酸を変異させた変異体7種を構築した。その結果、5種のP450変異体を酵母において機能的に発現することに成功し、いずれの変異体もCB77の水酸化活性、脱塩素化活性を示した。これら2種の代謝物のうちアスパラギン、スレオニンに変異させた変異体では水酸化代謝物に対して脱塩素化代謝物の生成比が著しく向上していた。この結果から、本アミノ酸を変異させることによりPCB毒性を低下させるP450変異体を作製できることを示した。 (4)P450の細胞内局在性の改変 PCBは極めて脂溶性が高いため、細胞膜にとどまり細胞質や小胞体膜に移動する量は限られている。そこで、P450をPCBが濃縮する細胞膜に局在させ、効率よく代謝させるため、細胞膜局在性シグナルを、P450のN末端に存在する小胞体局在シグナルと置換した。さらに緑色蛍光タンパク質(GFP)を融合し、酵母に導入したところ、蛍光顕微鏡下での組換え酵母におけるGFPの細胞膜局在性が観察された。さらに、細胞膜の分画、ウエスタンブロット分析により、細胞膜へのP450の局在が確認された。これらの結果から、通常小胞体に局在するP450を細胞膜に局在させることができ、細胞膜に局在するPCBの効率的な代謝に応用可能であると考えられる。 以上の結果から、PCBの毒性を低下させるP450を創製することが可能となり、さらにP450の局在性を改変することができた。これらを組み合わせることでPCBの代謝効率の向上が期待でき、生物的浄化に利用することができる。
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[Presentation] Structural basis of metabolism of 2,3',4,4',5-pentachlorobiphenyl (CB118) by mammalian cytochrome P450 monooxygenases2014
Author(s)
Shintarou Mise, Yuuki Haga, Miku Yabu, Toshimasa Itoh, Keiko Yamamoto, Chisato Matsumura, Takeshi Nakano, Toshiyuki Sakaki, Hideyuki Inui
Organizer
International Conference of Asian Environmental Chemistry 2014
Place of Presentation
Bangkok (Thailand)
Year and Date
2014-11-24
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