2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25550066
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
忽那 周三 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 研究グループ長 (60344131)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 環境浄化 / 光触媒 / 硫酸イオンラジカル / 閉鎖循環式反応装置 / 電子スピン共鳴スペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、硫酸イオン活性化機能(環境条件下で硫酸イオンを硫酸イオンラジカルに変換し、硫酸イオンラジカルにより直接または間接的に汚染物質を除去する機能)をもつ環境浄化用触媒の開発を目的とする。鉄(Ⅲ)の硫酸錯イオンが光照射下硫酸イオンラジカルを生成することが文献で報告されている。一方、環境pH条件下で、鉄(Ⅲ)イオンの多くは水酸化物錯イオンとして存在するため、鉄(Ⅲ)の硫酸錯イオンによる硫酸イオンラジカル生成は抑制される。今年度は、材料の構造内に硫酸イオンが環境成分と接触可能な状態で含有されれば、環境条件下でも鉄(Ⅲ)イオンと硫酸イオンの相互作用が存在する点に注目し、そのような構造をもつシュベルトマナイトを候補化合物として選択し、その光触媒活性を調べた。シュベルトマナイトは、天然に存在する鉱物であり、またヒ素除去等の環境浄化用材料として利用されている。 シュベルトマナイトを文献に従い合成した。合成は、溶液反応操作、透析操作並びに凍結乾燥操作からなり、一連の操作に約1ヶ月要した。光触媒活性は、閉鎖循環式反応装置を用いてトルエンの分解活性により評価した。湿度等の反応条件を変えて、地上に到達する太陽光の波長領域(>300 nm)の光照射を行った場合と行わない場合についてトルエン濃度の時間変化を観察した。その結果、トルエン濃度減少はみられるが、光照射の有無に関わらず一定であることから、吸着による濃度減少であることがわかった。また、硫酸イオンラジカル生成を確認するために、77Kにおいて、>300nmの波長領域で光照射下、シュベルトマナイトの電子スピン共鳴スペクトル測定を行ったところ、電子スピン共鳴スペクトルの光照射による変化は観察されなかった。
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