2013 Fiscal Year Research-status Report
臭化銅含有有機溶媒系を用いた環境調和型貴金属リサイクルシステムの開発
Project/Area Number |
25550067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松野 泰也 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50358032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 まどか 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40287975)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 貴金属回収 / 湿式法 / 環境調和プロセス |
Research Abstract |
本研究は、臭化銅含有有機溶媒を用いた、使用済み電子機器等からの貴金属の経済的かつ環境調和型リサイクルシステムを開発することを目的にする。本年度では、金、銀、白金およびパラジウムの金属単体を用い、貴金属の溶解速度と最大溶解量および析出速度と回収率が最大となるような最適溶媒組成および操作条件を探索した。 様々な有機溶媒および酸化剤(金属ハロゲン化物)を検討したところ、非プロトン性極性溶媒であるジメチルスルフォキシド(DMSO)に、酸化剤として臭化銅(II)および臭化物を溶解した溶媒が、70℃前後の温度において貴金属を高速に溶解することを見出した。実験は、反応条件を一定にするために振とう式恒温水槽を用い、一定時間に溶解する各貴金属量(溶解速度)と最大溶解量を定量した。本系での金の溶解速度は、既存のシアン化合物を用いる湿式法よりもはるかに高速で溶解できることを確認した。また、銀およびパラジウムについても高速で溶解できるが、白金は溶解しないことを確認した。 上記の溶媒にて溶解した金は、水を添加することで析出できることを見出した。溶媒に対して容量で50%以上の水を添加すれば金が析出し、90%程度の回収率となることを確認した。DMSOの沸点は189℃であり、水と共沸しないことから、蒸留等により水との分離が容易である。従って、本システムは、臭化銅(II)DMSO溶媒により貴金属を溶解、その後、水の添加により析出・回収、さらに水とDMSOの分離により繰り返し操作が可能であることを見出すことができた。 サイクリックボルタンメトリや定常分極曲線などの電気化学的測定の結果、DMSO中では二価の銅イオンが一価に還元される平衡電位が金の酸化反応の平衡電位よりも貴であり、水溶液系と逆転していることが、上記の反応を起こすメカニズムであることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、様々な有機溶媒および酸化剤(金属ハロゲン化物)を検討したところ、非プロトン性極性溶媒であるジメチルスルフォキシド(DMSO)に、酸化剤として臭化銅(II)および臭化物を溶解した溶媒が、70℃前後の温度において貴金属を高速に溶解することを見出すことができた。本系での金の溶解速度は、既存のシアン化合物を用いる湿式法よりもはるかに高速で溶解できるゆえ、魅力的なプロセスとなりえる。 そして、上記の溶媒にて溶解した金は、水を添加することで析出できることを見出した。溶媒に対して容量で50%以上の水を添加すれば金が析出し、90%程度の回収率となることを確認した。DMSOの沸点は189℃であり、水と共沸しないことから、蒸留等により水との分離が容易である。従って、本システムは、臭化銅(II)DMSO溶媒により貴金属を溶解、その後、水の添加により析出・回収、さらに水とDMSOの分離により繰り返し操作が可能であることを見出すことができた。 さらには、上記のメカニズムを、電気化学測定により考察することができた。 従って、本年度の目標は、十分進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、使用済み電子基板、CPUおよびメモリ等およびそれらを前処理したサンプルを用い、臭化銅含有有機溶媒系を用い、貴金属(金、銀およびパラジウム)をどれだけ溶解し回収できるか実験を行う。基板ごとに含有する貴金属は大きく異なるので、含有濃度により回収率が異なるかを確認する。 まずは、反応条件を一定にするために振とう式恒温水槽を用い、一定時間に溶解する各貴金属量(溶解速度)と最大溶解量を定量する。ここでは、多元素が同時に溶解すると考えられるので、ICP-AES分析により溶媒中に溶解した貴金属重量を定量する。そして、溶解速度と溶解量が最大となる溶媒組成および温度依存性の検討を行う。溶解終了後に、溶媒と残留したサンプルを分離し、水を添加することで貴金属の析出を試み、回収率を定量する。ここでも、多数の元素が同時に析出すると考えられるため、析出した貴金属はICP-AES分析により定量する。なお、他の元素および樹脂の共存により、貴金属の溶解速度、溶解量および回収率が低くなることも考えられるが、その阻害要因を検討し、貴金属回収システム構築の課題抽出と提案を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、貴金属の単体の溶解実験と析出実験を行った。次年度は、複数の金属共存下および合金を用いた解実験と析出実験を行う予定である。来年度の方が、複雑系を扱うために、貴金属金属購入および分析に多額の費用がかかるために、予算をそちらで使うことにしたため。 本年度は、貴金属の単体の溶解実験と析出実験を行った。次年度は、複数の金属共存下および合金を用いた解実験と析出実験を行う予定である。来年度の方が、複雑系を扱うために、貴金属金属購入および分析に多額の費用がかかるために、予算をそちらで使うことにする。
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Research Products
(5 results)