2014 Fiscal Year Annual Research Report
臭化銅含有有機溶媒系を用いた環境調和型貴金属リサイクルシステムの開発
Project/Area Number |
25550067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松野 泰也 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50358032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 まどか 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40287975)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再資源化 / グリーンケミストリー / 貴金属 / リサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、臭化銅含有有機溶媒(ジメチルスルフォキシド(DMSO)や炭酸プロピレン(PC)にCuBr2やKBrを溶解させたもの)を用いた、使用済み電子機器等からの貴金属の経済的かつ環境調和型リサイクルシステムを開発することを目的にする。まずは金、銀、白金、パラジウムの金属線を用い、貴金属の溶解速度と最大溶解量、および析出速度と回収率も最大となるような最適溶媒組成および操作条件を探索した。さらに、貴金属の溶解および析出のメカニズムを電気化学測定により検討した。さらには実際に、使用済み電子基板等を用い貴金属の回収を行った。他の元素や樹脂が共存する場合の、貴金属の溶解および析出への影響とメカニズムを検討し、事前分離の必要性など貴金属回収システムの課題抽出を行った。 本溶媒系を用いた場合、70℃程度の温度において、金やパラジウムが相対的に高速に溶解できることが分かった。溶解速度は、CuBr2およびKBr等のハロゲン塩の濃度および温度の増大に従い増大することが分かった。溶解させた貴金属は、DMSO溶媒の場合は、pHを1程度にした水の添加により析出させることにより、PC溶媒の場合は水溶液(同じくpHは1程度)との二層分離により効率的に分離回収できることを示した。 これら貴金属の溶解と析出のメカニズムは、DMSOやPC溶媒中では、貴金属の酸化還元平衡電位が卑になることに対し、一価と二価の銅イオンの酸化還元平衡電位が相対的に貴になり、水溶液中と比べて電位の逆転現象が起きることで説明できることが電気化学的に示すことができた。 実際の使用済み電子基板を用いた貴金属の抽出実験では、樹脂や他の錫などのベースメタルが共存することにより、貴金属の溶解および析出が抑制されてしまうことが阻害要因になることが分かった。それゆえ、適切な前処理が必要なことが示された。
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Research Products
(6 results)