2013 Fiscal Year Research-status Report
低炭素化社会と経済成長の両立のための革新的アプローチ:製品の経済的寿命からの解決
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25550088
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長平 彰夫 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10323122)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 低炭素化社会 / 経済成長 / ライフサイクルアセスメント / 産業連関分析 / ビジネスモデル / GaN(窒化ガリウム)系材料 / エアコン / 自動車 |
Research Abstract |
平成25年度においては、第1に広範囲かつ大きなCO2排出低減効果が期待されているGaN(窒化ガリウム)系材料を使用した光・電子デバイス部品およびそれを組み込んだ最終製品を具体的事例として選定し、国内外の企業や研究者たちに対するインタビュー調査によりそのMLCを決定した。今年度、GaN系材料を選定したのは、世界各国が次世代省エネ材料として注目していること、代表者が所属する東北大学の多元物質研究所が世界最先端の製品化等応用研究を行っており、諸データおよび知見の収集が容易であったからである。第2に産業連関分析を使用し、製造・リサイクル・廃棄を通してのCO2排出低減効果解析モデルを構築し、それに基づいてGaN系材料を使用した光・電子デバイス部品およびそれを組み込んだ最終製品についてCO2排出低減効果の算定を行った。具体的な製品としては、ハイブリッド車や電気自動車などのインバータ、エアコン、冷蔵庫など家電製品の汎用インバータ、携帯電話の基地局、およびLED(発光ダイオード)照明であった。この場合において、GaN系材料を使用した製品の製造過程での他の部門(農業などの一次産業も含めて)のCO2排出も考慮して、総合的にCO2排出低減効果を算定した。その算定プロセスは、まず、最新の産業連関表(平成17年)に基づき、トータルの生産額(経済波及金額)を計算した。そして、最後に、産業連関表に基づいて算出したトータルの生産額(経済波及金額)に、産業分野毎のCO2排出原単位を乗じてCO2排出量を算定した。なお、シミュレーションモデル構築にあたっては、GaN(窒化ガリウム)系材料に精通し、かつ、これを使用した部品およびそれを組み込んだ最終製品について豊富な知識と経験を有する東北大学多元物質研究所の秩父重英教授の協力を仰いだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、産業連関分析を使用し、製造・リサイクル・廃棄を通してのCO2排出低減効果解析モデルを構築し、その有効性を窒化ガリウム系材料で実証することが最大の達成目標であったが、モデルの構築およびその検証を順調に終えることができたことから、おおむね順調に進展しているものと自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度においては、前年度に構築したCO2排出低減効果解析モデルを使用して、具体的な環境問題の解決と経済的豊かさを両立させるための指標を提示するため、第1に、主要な家電製品である家庭用ルームエアコンについて、省エネルギー効果と経済効果についてシミュレーションを行うことによって、省エネルギー効果と経済効果を両立させるための指標を得る。エアコンを対象事例とするのは、省エネルギー効果が期待される製品の置き換えによって、真に省エネルギー効果が得られるかどうかを明らかにしたいため、省エネルギー性能の向上が著しく、また十分に普及しているものが望ましいと考えられたからである。それを踏まえると、日常生活に欠かせない身近な家電が適切と思われる。特にテレビや冷蔵庫、エアコンは、年々省エネルギー性能が向上しており、2001年より施行された家電リサイクル法によってリサイクルが義務付けられているために、省エネルギー効果への影響は大きく、統計データ等も豊富にあると考えられるため、対象事例に適している。その中でも全体の消費電力量に対する割合の大きい家庭用ルームエアコンを対象事例とした。第2に、自動車はハイブリッドカーや電気自動車の登場によって、省エネルギー性能が急速に向上しているといわれている製品の一つであり、今後も省エネルギー性能の向上が期待されている。この自動車において真に省エネルギー効果を得るための条件をシミュレーションによって探索する。自動車を第2の事例としたのは、経済産業省の統計データによると、最終エネルギー消費に対する運輸部門の割合は2011年時点で23.3%となっており、1973に比べ1.9倍の大きさとなっている。運輸部門の中でも特に身近で消費者に普及していることから、環境負荷低減効果を得るための指標を得ることができればその効果は大きなものになると予想されるからである。
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Research Products
(1 results)