2014 Fiscal Year Annual Research Report
低炭素化社会と経済成長の両立のための革新的アプローチ:製品の経済的寿命からの解決
Project/Area Number |
25550088
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長平 彰夫 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10323122)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 低炭素化社会 / 経済成長 / ライフサイクルアセスメント / 産業連関分析 / ビジネスモデル / True Teller / 知的財産権 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に構築したCO2排出低減効果解析モデルを使用して、具体的な環境問題の解決と経済的豊かさを両立させるための指標を提示するために、主要な家電製品である家庭用ルームエアコンについて、省エネルギー効果と経済効果について産業連関分析を用いてシミュレーションを行った。その結果、既存機種を使い続けた場合のエネルギー消費量と、省エネ性能が優れた機種に買い替えた場合のライフサイクル全体のエネルギー消費量が等しくなったとし、その時の条件を算出した。 次に、この省エネルギー効果の算出において変数として扱えるパラメータとして考えられるのは、ルームエアコンの消費電力、製品価格、マーケットライフサイクル(MLC)が挙げられる。そこで、これらのパラメータを用いて省エネルギー効果の算出式を構築した。最後に、エアコンの価格を10万円から30万円まで2万円刻み、マーケットライフサイクル(MLC)を1年から15年まで1年刻みで変えていったときの必要省エネルギー性能上昇値を求め、その結果をグラフとしてまとめた。このグラフの曲面が、省エネルギー効果が得られるか得られないかの境界面となり、買替の条件を当てはめたときに、省エネルギー性能上昇値がこの面より上にあれば、省エネルギー効果が得られることが期待できると判断されるとの結論を得た。 最後に、省エネ技術がさまざまな製品に使用されることによる波及効果の算定は、特許権を主体とする技術分析によってはじめて可能となる。そこで、True Tellerという特許データベースを使用して、今後の技術革新動向を分析した。その結果、ルームエアコンに関しては、技術革新によって、CO2低減効果が著しく向上した場合、買換え需要の発生が見込まれるが、その時期等が特許権や論文等の文献調査に基づいて正確に算定できた。 このように、省エネルギー効果を評価するための大きな指標を示すことができた。
|