2013 Fiscal Year Research-status Report
微粒子沈降濃縮層による浸透圧発生現象の解明と海水淡水化技術への応用
Project/Area Number |
25550089
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
森 隆昌 法政大学, 生命科学部, 准教授 (20345929)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 浸透圧 / スラリー / 正浸透 |
Research Abstract |
アルミナスラリーを用いて,スラリーの浸透圧測定及び吸水実験を行った.アルミナの粒子濃度が高いほどスラリーの浸透圧は大きくなった.特にアルミナの粒子濃度には比例せずに,それ以上の増加率で浸透圧が大きくなった.吸水実験においては,アルミナスラリーを用いて継続的に吸水できることを確認したが,浸透圧測定から想定される吸水量にはほど遠く,実験装置・方法の更なる改良が必要であると思われる. さらに,より高い浸透圧を発生させるために,高分子電解質を添加し,粒子に吸着させることで回収も容易に行えるスラリーの開発を試みた.アルミナの分散剤としてよく用いられるポリアクリル酸アンモニウムを添加し,100%吸着する領域でスラリー調製,浸透圧測定を行った.浸透圧の値は増加したが,海水の浸透圧に比べるとまだ桁違いに小さい事が分かった.ポリアクリル酸アンモニウムの水溶液で海水の浸透圧を上回ることは可能であることは確かめられたため,アルミナの中でもさらに吸着面積の大きいナノサイズの粒子を使用する,あるいはアルミナ以外の多孔質粉体,層状化合物の粉体を吸着材に使用してスラリーを調製すれば,海水淡水化のドロー溶液候補になり得るのではないかと考えられる. ポリアクリル酸アンモニウムは粒子に吸着するが,カウンターイオンが液中に残存するため,吸水するとその中にはこのイオンが含まれるため,純水を得るためにはイオン交換等の後処理が必要になってしまう.したがって,非イオン性のポリマーで水溶性が高いものを選択し,実験に使用する.粒子に吸着させることによって回収を容易にするため,吸着率の高い粒子の選択についても検討していく. また,刺激応答性のポリマーを使って,溶解度をコントロールし,正浸透のドロー溶液として利用することも試みる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の取り組みとして,スラリーの浸透圧測定装置,吸水実験装置を作成したこと,及びスラリーの吸水実験を行って,スラリーで吸水が可能であることを検証できたところは,本研究の最重要部分であることからおおむね順調とまとめることができると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
浸透圧を任意にコントロールし,対象の溶液に合わせて使用するスラリーを変えていくこと,吸水に関して,浸透圧から想定される量の吸水が行えるようにすることが必要である. 浸透圧のコントロールについては,スラリー条件(粒子の種類,濃度,ポリマーの種類,濃度,吸着量,スラリーpH,イオン濃度)が浸透圧に及ぼす影響を系統的に調査していく. 吸水に関しては,より正確な測定ができるよう,実験系を工夫し,蒸発の影響など,環境が測定に及ぼす影響を最小限にする工夫を実施しながら引き続きある程度の期間吸水させ続ける実験に取り組む.
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