2015 Fiscal Year Annual Research Report
エントロピー最小化による持続可能な自然共生型流域圏の構築に関する基礎的検討
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25550093
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
赤松 良久 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (30448584)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エントロピー / エネルギー効率 / GISデータベース / 河川生態系 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は山口県佐波川流域を対象として,河川内の魚類,底生動物,付着藻類量を予測可能な流域水・熱・物質動態解析モデルを開発した.本モデルでは魚類,底生動物,付着藻類量の空間分布を統計も出を用いて予測し,それらの時間的な変化を物質循環ベースの物理モデルで予測することができる.魚類に関しては河川利用形態別の4区分(回遊遊泳魚,回遊底生魚,純淡水遊泳魚,純淡水底生魚)全てで空間分布を予測する統計モデルの構築が可能であり,特に底生魚については高精度のモデル構築が可能であった.また,底生動物に関しても佐波川における優占4分類群(ヒゲナガカワトビケラ科,シマトビケラ科,ヒラタドロムシ科,トンボ目)全てで,空間分布を予測する統計モデルが構築可能であった.また,本モデルによって付着藻類量の年間の変動についても予測可能であることが明らかとなった. 佐波川では国管理の区間だけで15基の堰が設置されており,堰による取水によって生物環境が大きく変化していることが指摘されている.そこで,本モデルを用いて堰が有る場合と無い場合で河川における生産性について検討した.その結果,堰による多量の取水によって流量は大幅に減少するものの,河川内の生物量(魚類量および底生動物量)はほとんど変化しないことが明らかとなった.このような解析から,このモデルを用いて,人間による河川の連続性の阻害が流域における自然系のエネルギーフローに与える影響を把握できることが確認された.
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Research Products
(4 results)