2013 Fiscal Year Research-status Report
コミュニケーションツールとしての側面に着目した警笛に関する国際比較研究
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25560005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高田 正幸 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 助教 (40315156)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 警笛 / 使用意図 / 騒音レベル / 音環境 / 実測調査 / 韓国 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
韓国・ソウル特別市内において警笛の実測調査を行った。まず測定に適した場所を選定するために市内の複数の交差点等で予備調査を行い,調査地点としてソウル特別市江南区三成洞の交差点(地下鉄江南区庁駅付近)を選定した。この交差点の道路端に騒音計を設置し,8~19時の時間帯の100ms毎の騒音レベルを記録すると共に,騒音計のマイクロホンに入力された交通騒音を録音した。さらに測定者が警笛の発生時刻を記録した。測定は4日間実施され,天候等の影響を受けなかった2.5日間分の測定データを分析した。結果として,警笛の発生頻度は測定日により異なっていた。1日目(休日,午後のみ測定)と2日目(平日,終日測定)の13~17時の時間帯では警笛が1時間あたり40~70回発生し,その頻度は同程度であったが,3日目(平日,終日測定)の同じ時間帯には1時間あたり120~150回に及ぶ警笛が確認された。また平日の夕方には警笛の発生頻度が増す傾向も見られた。騒音計の設置位置における警笛の騒音レベルは62~98 dBであり,80 dB以上の警笛が多数確認された(全体平均は72.4 dB)。交差点内で警笛が頻繁に使用される原因の一つとして,交通規則上の特徴が考えられる。韓国では,赤信号により車両の直進方向の停止が指示されている場合でも,右折は認められている。そのため,交差点の先頭で停止している車両に対して,右折するつもりの後続車両が警笛を鳴らす事例が多く見られた。 以上の実測調査に加えて,平成26年度に予定しているアンケート調査で用いる調査票の内容を検討した。先行研究で用いた調査票は,警笛使用時の交通状況や使用対象など,主に外的要因との関連を調べる質問項目で構成されていたが,本研究では新たに,個人規範や道徳意識といったドライバーの内的要因が警笛の使用に及ぼす影響も調べることとし,これに適した評価尺度の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり,韓国の都市部における警笛の実測調査を実施し,交差点内における警笛の発生頻度やその騒音レベルなど,現地での警笛の使用状況を把握することができ,さらに,平成26年度に実施予定のアンケート調査で用いる調査票の内容も検討し,少数ではあるが調査票を現地で配布して,その内容が適切であることを確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の調査票を用い,韓国の都市部における警笛の使用状況に関する詳細な意識調査を行う。参加者には,警笛を使用する側(ドライバー)と鳴らされる側(ドライバーと非ドライバー)ごとに,警笛が使用された状況(場所,時間帯,交通量,吹鳴パターン,使用目的等)と,警笛を鳴らされたときの心理状態,さらに参加者自身の個人規範や道徳意識などについて回答を求める。得られた回答に対して統計的分析を適用し,警笛を鳴らされたときの心理と警笛が使用された状況(場所,交通量,吹鳴パターン,使用目的等)の関連や,個人規範など参加者(ドライバー)自身の内的な特性と警笛の使用傾向の関連などについて分析する。警笛の使用状況と鳴らされた人間の心理の関連など先行研究と同様の検討に加え,ドライバーの内的要因を起点とした警笛の使用に至る心理学的モデルについて検討を試みる予定である。また警笛に関する法規や規格などについて引き続き調査する。
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