2015 Fiscal Year Annual Research Report
物理的サポートに基づく生理評価を伴う育児環境デザイン
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25560007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤 智亮 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (60274544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綿貫 茂喜 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (00158677)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 少子化社会対策 / 育児支援 / 乳児 / 生理人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度(平成25年度)には、乳児の生理値(心電図)の測定を成人と同等の精度で行うことを目的とした実験を行った。また、既存の成人用の測定機器を乳児に適用させるために、機器を改造した。実験では、乳児の心臓周りの電位差が成人と比較して小さいことなどから、特に乳児の啼泣児において筋電図が混入するなどの問題点が明らかになった。 この問題に関して平成26年度の前半に様々な調査や実験を行った結果、乳児の心電図測定においては、成人において通常用いるCM5誘導ではなく、NASA誘導を用いれば、自律神経の分析に不可欠なR波をほぼ確実に検知できることがわかった。 平成26年度の後半には、本研究課題において改良を重ねて完成させた測定機器及びNASA誘導による測定方法を用いて、月齢2ヶ月の乳児8名に対して、揺動刺激と音刺激が乳児に与える影響を調べるための実験を行った。その結果、揺動刺激及び音刺激は、刺激を呈示しなかった場合と比較して有意に児を鎮静化させた。この鎮静効果は、刺激呈示後1分以内にみられた。しかし、揺動刺激と音刺激を児に同時に呈示することによる相加効果はなかった。総じて、揺動刺激及び音刺激には、月齢2ヶ月の児を1分以内に鎮静させる効果があることがわかった。 本年度(最終年度)は、まず、前年度までに得られた揺動刺激と音刺激に関する評価実験結果を基に、母親への物理的サポートを行うプロダクトのデザイン要件をまとめた。その後、育児の精神的・肉体的負担軽減に資することを目的として、揺動刺激と音刺激の両方を呈示可能な乳児用ベッドを設計・製作した。さらに、製作したベッドの有用性を評価する実験を行った。今後、この評価実験結果をまとめて発表し、本研究を締めくくる。
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