2013 Fiscal Year Research-status Report
応急仮設住宅におけるコミュニティづくりに関する実践的研究 -いわき市を事例に-
Project/Area Number |
25560025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
陣内 雄次 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (70312858)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 復興コミュニティ / 応急仮設住宅 / 集会所 / 支援 / 復興まちづくり |
Research Abstract |
平成25年度は、メインの研究フィールドであるS仮設住宅(福島県いわき市)の集会所にて、月1~2回の頻度で交流イベント(カフェ、駄菓子屋等)を開設し、仮設住宅に住まう住民の交流促進に資するとともに、参加した住民への聞き取り調査を行った。また、同集会所で活動を展開している住民グループへの聞き取り調査も実施した。加えて、過去の震災被災地である兵庫県神戸市などにて現地調査、復興活動に従事した関係者への聞き取り調査を実施した。また、子どもたちの復興コミュニティづくりへの取組を調査するため、石巻市の子どもセンターなどにて現地調査、聞き取り調査を実施した。一方、月2~3回程度、調査協力者などによるミーティングを継続して行い、調査結果の分析と考察を積み上げてきた。 現段階で明らかになったこととして、東日本大震災で特に多い借り上げ住宅、みなし仮設で生活する住民への支援についても、近接する集会所は「重要な場」であるということである。自治体の情報を得られる手段が、仮設住宅と比べ限られる借上げ住宅は、近隣との関係づくりも難しく実態把握も容易ではない。仮設住宅集会所を活用する支援体制として、まず、集会所という場をより広く被災者、支援団体に認知してもらい、自治体と支援団体が連携して支援を行うスタイルが重要である。応急仮設住宅内の住民同士の長期避難生活に向けた新しいコミュニティを形成するだけでなく、被災後避難によって崩壊、希薄化している元の地域のコミュニティを、支援の輪と集会所の場と住民同士で細くとも維持していくことが、どのような状況にも対応できる減災のためのコミュニティとなる。被災した地域が復旧してきている場合は、その地域において住民同士の交流の拠点づくりを行い、応急仮設住宅団地集会所と拠点を相互に行き来しながら、その人自身の仮設退去後の展望や復興まちづくりを考えていくことができるのが望ましい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、応急仮設住宅の集会所にて交流イベントを定期的に開催し、入居者(子どもを含む)との信頼関係を築くとともに、聞き取り調査、参与観察を行うことができた。今年度の調査においても協力を得ることができる基盤を構築できたことは、今年度の調査にとって重要なポイントである。また、過去被災地である新潟県長岡市、兵庫県神戸市での現地調査や聞き取り調査、東日本大震災の被災自治体での現地調査や聞き取り調査なども当初の計画に沿って進めることができた。 東日本大震災後、先進的に子ども参画のまちづくりに取り組んでいる、石巻市の子どもセンター、高校生カフェの調査、子どもへの聞き取り調査を実施し、今年度、子ども参画という観点からの調査を進める上で、多くの示唆を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には、S応急仮設住宅の集会所での交流イベントを継続しつつ調査を深めるとともに、次の点に特に注力していく。(1)子ども参画にもとづく自立的な復興コミュティづくりのあり方の追求(2)子ども参画から広がる大人世界への波及効果の検証 (3)協働プラットフォーム(いわき市、NPOなど)の組成(4)報告会の開催(5)ブックレットの作成
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
協力団体の協力(乗用車に分乗できた)により、いわき市などへの交通費を削減することができた。また、交流イベントで滞在することを想定していたが、日帰りで済み大幅に支出が抑制される結果となった。 被災地でのより詳細な聞き取り調査を実施する。特に、子ども参画に関する調査を充実していきたい。また、報告会を兼ねたシンポジウムについては、その記録集のとりまとめも検討したい。
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Research Products
(1 results)