2013 Fiscal Year Research-status Report
NPO法人による持続可能なマンション建替えシステムの研究
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25560030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
辻 壽一 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 教授 (60368165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 麻衣 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (20614150)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非営利住宅 / テナントデモクラシー |
Research Abstract |
1.2013年10月26日~11月9日にデンマーク調査を実施。 ヒアリング調査対象として、①非営利住宅組合(Dansk Almennyttigt Boligselskab、Køge Ellemarken、Boligkontoret Danmark)②非営利住宅管理法人(BO-VEST、Domea)③民間賃貸集合住宅法人(Frederiksberg Boligfond)④コーポラティブ住宅組合連合(Andelsboligforeningernes Fællesrepræsentation)⑤デンマーク都市・地方・住宅省等の事例調査、ヒアリング調査を実施した。その主な目的はデンマークの集合住宅における様々な形態を総合的に調査し、その構成と差異を明らかにすることである。さらに、それぞれの集合住宅の改修時等における居住者の合意形成過程を調べ、その合意形成に寄与する人的役割を明らかにすることである。 日本では、デンマークにおける非営利住宅の組織名称を、一般に非営利住宅協会としていたが、今回の調査でそれが必ずしも適切な名称と言えなく、基本的な単位としては非営利住宅組合とすることが望ましいことがわかった。非営利住宅の建設にあたっては、基本的に居住希望者等による組合の結成から始まると考えられる。つまりデンマークにおけるテナントデモクラシーは、住宅入居後の概念ではなく、むしろ、テナントデモクラシーを前提として非営利住宅が成り立っていると考えられる。そして、非営利住宅建設後においては建設に中心的な役割を果たした理事会のメンバーを軸として、ほぼボランティア的に管理運営が行われている。そして、改修工事等における合意形成は、居住者間において様々な調整がなされていることがわかった。 2.アトラス国領住宅ヒアリング調査 アトラス国領住宅元理事長へのヒアリング調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デンマーク調査は、非営利住宅組合、非営利住宅を管理する法人、民間賃貸住宅、コーポラティブ住宅組合連合、デンマーク都市・地方・住宅省等と、デンマークの集合住宅にかかわる様々な組織へのヒアリング調査が有効かつ効果的に行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度デンマーク調査において、デンマークにおける所有形態別集合住宅の差異とその同一性の理解がなされたが、今後その精緻な整理が必要と考えている。日本のマンション建替えにとってきわめて有益なヒント(非営利住宅の運営、テナントデモクラシーの概念)が得られているが、その概念の一般化と応用展開への検討が今後の課題となる。 デンマーク非営利住宅の管理運営手法は、日本のマンションの管理運営と実質的にかなりの部分で共通することもわかった(理事会の存在、総会による決議等)ことで、デンマーク非営利住宅の研究をさらに深め、日本におけるNPO法人所有方式の検討を進める。
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Research Products
(1 results)