2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25560033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊能 教夫 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (70126308)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | テクスチャー / バイオメカニクス / 食品の微細構造 / 食感 |
Research Abstract |
心地よい食感を有する食品は、消費者の嗜好に適合し強い商品価値を生み出す。本研究では、加工食品の微細構造および生地の材料特性を明らかにすることで、食感の特徴と生成メカニズムを解明することを目的とする。 今年度は微細構造を有する加工食品を研究対象としてミクロレベルでのヤング率と材料強度を測定した。まず、微細構造を有する5種類の棒状スナック菓子を対象として、申請者の研究室で所有しているX線CT装置で断層画像を撮影した。撮影にはスナック菓子の一部を取り出し、試験片を製作した。次に、断層画像から三次元画像を構築した。そして、三次元画像から加工食品の構造的特徴(サイズ、平均密度、分散、構造的偏り)を求めた. 一方,以下の手順で荷重試験を実施した。まず、ミクロレベルの荷重が測定可能な圧縮試験器を製作した。圧縮試験機は、申請者がこれまで開発した装置に入出力まわりの改良を加えた。この装置を用いてX線CT撮影で用いた加工食品の荷重履歴を計測した。次に、X線画像データを基に有限要素をボクセルを基準として有限要素モデルを作成し、圧縮試験機で得た荷重特性を境界条件として与え、有限要素解析を行うことでミクロレベルの材料特性(ヤング率および材料強度)を算出した。解析結果は、見かけ上(マクロレベル)のヤング率と比べてミクロレベルのヤング率は5~700倍大きい値となり、ミクロレベルの材料特性に注目する意義が示された。 両者の手順で得られた結果を比較・考察することにより、加工食品の微細構造と食品の機械的特性の関係を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加工食品、特にスナック菓子は種類によって種々の微細構造をしており、それが食感に影響を与えていると予想し、ミクロレベルの計測実験を行い、材料定数を算出した。算出した結果は、マクロレベルの見かけ上のヤング率とは大きく異なる値が得られ、本手法の意義が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
微細構造に関する機械特性の知見に加えて、人体の骨伝導に関する力学解析を行い、人体特性と食感の関係を調べる。食感は、官能評価を実施し日本語の擬音語(「さくさく」、「がりがり」、「パリパリ」、「かりかり」)との関係を統計分析的手法で表現することを試みる。これにより物理量と食感の関係を明らかにしたい。さらにスナック菓子の微細構造をこれまで提案した評価とは別の表現式を提案して食感表現に関する数理モデルの向上を目指したい。 また、咀嚼時の顎運動、特に食物をすりつぶす際の上下歯の運動も食感に大きく関与していると考えられるので、食物咀嚼時の歯列運動を計測し、バイオメカニクス的観点からも考察を行い「食のバイオメカニクス」に発展させる礎としたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度の研究予算に使用した方が、よい研究成果が得られると判断されたため。 国際学会発表のための海外出張費も必要となったため。 顎運動計測用ビデオカメラの購入 国際学会参加渡航費,滞在費,学会参加費に使用。
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Research Products
(2 results)