2013 Fiscal Year Research-status Report
分子標的予防の考え方に基づいた新しい癌予防食素材の開発
Project/Area Number |
25560040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
矢野 友啓 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (50239828)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分子標的予防 / 前立腺癌 / 癌予防食材 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、分子標的化学予防の考え方に基づき、前立腺がんの予防・治療に有効と推測される癌予防食素材を開発することである。本年度は、まずこの予防食素材をスクリーニングするための前立腺がん細胞株の選定を行った。ATCC等の細胞バンクから入手可能な前立腺細胞株を購入し、前立腺がんの有用な分子標的と考えられるSrc, Stat3の活性化レベルを指標にして、スクリーニングした結果、その活性化レベルから、ホルモン依存性のLNCaP細胞が予防モデルとして、ホルモン非依存性のPC3が治療モデルとして、各々使用できる可能性が示された。次にこの2つの前立腺癌細胞株を用いて、分子標的としてのSrcおよびStat3の有用性を検証するために、Src阻害剤であるPP2およびStat3阻害剤であるAg490の前立腺がん細胞株の細胞生存活性に対する効果をWST-1法で評価した。その結果、両方の細胞ともに、SrcおよびStat3阻害剤により統計学的に有意な抑制効果が認められ、SrcおよびStat3が前立腺がんの予防・治療における分子標的として有用であることが証明された。さらに、各々単独の阻害剤による抑制効果よりも、2つの阻害剤の併用が前立腺がんの細胞生存活性を相乗的に抑制したことから、この2つの標的分子を同時に不活性化することが前立腺がんの予防・治療により有効であることが推測された。この結果に基づき、この2つの標的分子を同時に抑制する可能性がある食素材をデーターベースを使い、検索したところ、代表的なファイトケミカルであるトコトリエノール類が有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた予定は、SrcとStat3を指標にしたスクリーニングに適した前立腺がん細胞株の選定とその細胞株を使ったSrc, Stat3を分子標的にした前立腺がんの予防・治療の有効性の判断、そして、データーベースを用いたSrc, Stat3の活性阻害作用を持つ食素材候補の絞り込みの3点であるが、これについては、上記の研究実績の概要にあるように、ほぼ当初の目的は達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
Src, Stat3を標的分子にした前立腺がんの予防・治療成分として有効であると推測されたトコトリエノール類(アナトー色素から抽出したトコトリエノール類)を使って、その作用機序も含めて、その有効性を検証する。
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Research Products
(4 results)