2013 Fiscal Year Research-status Report

肥満予防基礎研究のための新たな視点でのモデル動物の探索

Research Project

Project/Area Number	25560043
Research Category	Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
Research Institution	Tohoku University
Principal Investigator	池田郁男東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40136544)
Project Period (FY)	2013-04-01 – 2015-03-31
Keywords	高脂肪低炭水化物食 / 低脂肪高炭水化物食 / 内臓脂肪 / 肥満 / 肝臓中性脂肪
Research Abstract	本研究は、主要栄養素である脂肪と炭水化物量の違いが内臓脂肪蓄積に影響するのかを厳密に調べるため、単位重量当たりのカロリーを等しくした食事で、脂肪や炭水化物の量を変化させたとき、内臓脂肪の蓄積や体重が変化するモデル動物を探索する事を目的とする。5週齢のSDラットおよびC57BL/6Jマウスを用いて、試験を行った。食事脂肪は大豆油とし、低脂肪高炭水化物食では脂肪7％、高脂肪低炭水化物食では脂肪14％とし、等カロリーとなるように炭水化物量を調整した。この食事を、5週間および9週間与えた。飼育途中にエネルギー代謝を測定した。SDラットおよびC57BL/6Jマウス共に、5週飼育では高脂肪食で一過性のわずかな体重増加が起こるが、内臓脂肪は蓄積せず、9週間後には差がなくなった。エネルギー代謝測定の結果、摂食開始直後では、低脂肪食では高脂肪食に比べ、脂肪の燃焼量が低く、炭水化物燃焼量が高かった。これは、食事組成に準じた応答と考えられた。しかし、飼育が進むにつれて、低脂肪食摂取群の脂肪消費量が増加していき、9週飼育では低脂肪食群と高脂肪食群の脂肪消費量および炭水化物消費量に差が見られなくなるという興味深い知見を得た。これらの知見から、成長に伴って低脂肪高炭水化物食群では、炭水化物を脂肪に転換して、脂肪を燃焼させるという代謝的適応が起こっていることが示唆された。一方、肝臓の中性脂肪量およびβ酸化や脂肪酸生合成系酵素は、食事総脂肪量、炭水化物量および食事多価不飽和脂肪酸量に応答して、複雑に変化することが示された。しかし、肝臓のこのような変化は、内臓脂肪蓄積量とはまったく連動していないことが明らかとなった。このように、試験した実験動物においては、等カロリー条件下で食事脂肪および炭水化物量を変化させても、肥満は誘発されないことが示された。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason ICRマウスの飼育試験が遅れ現在分析中であり、まだ最終結果が得られていない。
Strategy for Future Research Activity	遅れているICRマウスの分析を完了させる。その後、肥満モデルマウスを用いて、前年度と同じ食事条件、飼育条件で実験を行う予定である。計画では、OLETFラット試験も行うことになっているが、予算が削減されていることから行わないこととする。